一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...
優輝と由香の恋 6
いよいよゲネプロが始まる。
あれから由香の容態は、日に日に悪くなって行った。
今日連れて来るのは、正直誰もが無理だと思った。
しかし、由香の強い思いがそうさせたのか、昨日まで続いていた微熱は今朝には下がり、野菜スープも少しだけ口にし、心なしか顔色も良くなって、みんなを驚かせた。
ゲネプロは、明日からのライブのセットリスト通りに通しで行うため、2時間から3時間のステージになる。すべてを見るのは体力的にも無理だと言ったのだが、由香はそれが自分の死期を早めるのだとしても全部見届けたいのだと言って聞かなかった。もうそれ以上は誰も何も言えなかった...
当初の予定通り、会場のVIPルームに酸素ボンベやベッドを用意し、ドクターと看護師春子さんの付き添いの元に由香を迎え入れた。
バックステージヤードでは、Re Lightメンバーとステージスタッフたちが、これから始まるゲネプロに向け士気を上げるべく、大きな円陣が組まれた。
いつもはだいたいこうゆう時に声を出すのは陽介か奏太だった。
しかし今日だけは僕に!と、奏太と陽介を制した。
「みなさんご存知だと思いますが、今日は僕の恋人の由香をみなさんのご協力の元、見に来させることが出来ました。
彼女の願いを叶えてあげることが出来ましたこと、彼女に成り代わりお礼を申し上げます。ありがとうございます。
想いを込めた最高のライブパフォーマンスを彼女に届けられるよう頑張りますので、メンバーのみんな、そしてこのライブを支えてくださってるすべてのスタッフのみなさん、どうかサポートをよろしくお願いします!」
僕は深く頭を下げた。
「最高のライブにするぞ!」
もうすでにギラギラした目の陽介が吠えると
「任しておけ!」
奏太の言葉に頷く加奈と来蘭ちゃん。
「心配せず、思い切りやりな!」
と総合舞台監督の浅川さんが言うと、大勢のスタッフがみな目で頷いた。
それぞれが自分の持ち場に散り、演者である僕たちもステージへと向かった。
由香の為のライブステージを届けようと、ライブに関わるすべてのスタッフたちも僕らも一体となり、温かくも切ない雰囲気に包まれた。
1曲目は、もうファンの間でも定番になりつつある僕らが初めて作り上げたあの楽曲からだ。
由香への想いを乗せ、僕は鍵盤に指を置いた。
セットリスト通り、全20曲の演奏が終わった。
来蘭ちゃんは、ふぅとひとつ深呼吸をしてから僕らの方を向き、メンバー一人一人と目を合わすと、正面を向き直し、ステージ中央から会場のど真ん中に続く花道を一直線に駆けて行った。
花道の先にあるセンターステージに着くと、由香の居るステージ正直のガラス張りの部屋へと顔を向け、由香に届けとばかりに拳を振り上げたのを合図に、奏太がカウントを刻んだ。
由香の為だけの曲を、由香の為だけにみな演奏をした。
最後の僕のピアノソロがせつなく響き、すべての演奏を終えた...と同時に、監督の浅川さんに無線が入った!
「優輝!地下駐車場へ急げ!由香ちゃんの容態が急変した!!」
「優輝!後のことはいいから走れ!!」
奏太に叫ばれ、僕は無我夢中で走った。
地下駐車場で待機していたドクターカーに、由香を乗せたストレッチャーが乗せられようとしている所にどうにか間に合い、一緒に乗り込んだ。
「由香!!」
「見届けたよ...全部...」
「だから無理するなってあれ程言ったじゃないか...」
「あの曲...だけ...持ってく...から...」
途切れ途切れになる言葉を必死に拾う
「あの曲...歌って...待ってるから...」
「由香!!いくな!!」
「また...あたしを...みつけて...」
「由香ー!!」
心電図モニターは直線を刻み、ピーという音が鳴り響き、ドクターが心臓マッサージをしたが、もう由香の心臓が動くことはなかった...
あれから由香の容態は、日に日に悪くなって行った。
今日連れて来るのは、正直誰もが無理だと思った。
しかし、由香の強い思いがそうさせたのか、昨日まで続いていた微熱は今朝には下がり、野菜スープも少しだけ口にし、心なしか顔色も良くなって、みんなを驚かせた。
ゲネプロは、明日からのライブのセットリスト通りに通しで行うため、2時間から3時間のステージになる。すべてを見るのは体力的にも無理だと言ったのだが、由香はそれが自分の死期を早めるのだとしても全部見届けたいのだと言って聞かなかった。もうそれ以上は誰も何も言えなかった...
当初の予定通り、会場のVIPルームに酸素ボンベやベッドを用意し、ドクターと看護師春子さんの付き添いの元に由香を迎え入れた。
バックステージヤードでは、Re Lightメンバーとステージスタッフたちが、これから始まるゲネプロに向け士気を上げるべく、大きな円陣が組まれた。
いつもはだいたいこうゆう時に声を出すのは陽介か奏太だった。
しかし今日だけは僕に!と、奏太と陽介を制した。
「みなさんご存知だと思いますが、今日は僕の恋人の由香をみなさんのご協力の元、見に来させることが出来ました。
彼女の願いを叶えてあげることが出来ましたこと、彼女に成り代わりお礼を申し上げます。ありがとうございます。
想いを込めた最高のライブパフォーマンスを彼女に届けられるよう頑張りますので、メンバーのみんな、そしてこのライブを支えてくださってるすべてのスタッフのみなさん、どうかサポートをよろしくお願いします!」
僕は深く頭を下げた。
「最高のライブにするぞ!」
もうすでにギラギラした目の陽介が吠えると
「任しておけ!」
奏太の言葉に頷く加奈と来蘭ちゃん。
「心配せず、思い切りやりな!」
と総合舞台監督の浅川さんが言うと、大勢のスタッフがみな目で頷いた。
それぞれが自分の持ち場に散り、演者である僕たちもステージへと向かった。
由香の為のライブステージを届けようと、ライブに関わるすべてのスタッフたちも僕らも一体となり、温かくも切ない雰囲気に包まれた。
1曲目は、もうファンの間でも定番になりつつある僕らが初めて作り上げたあの楽曲からだ。
由香への想いを乗せ、僕は鍵盤に指を置いた。
セットリスト通り、全20曲の演奏が終わった。
来蘭ちゃんは、ふぅとひとつ深呼吸をしてから僕らの方を向き、メンバー一人一人と目を合わすと、正面を向き直し、ステージ中央から会場のど真ん中に続く花道を一直線に駆けて行った。
花道の先にあるセンターステージに着くと、由香の居るステージ正直のガラス張りの部屋へと顔を向け、由香に届けとばかりに拳を振り上げたのを合図に、奏太がカウントを刻んだ。
由香の為だけの曲を、由香の為だけにみな演奏をした。
最後の僕のピアノソロがせつなく響き、すべての演奏を終えた...と同時に、監督の浅川さんに無線が入った!
「優輝!地下駐車場へ急げ!由香ちゃんの容態が急変した!!」
「優輝!後のことはいいから走れ!!」
奏太に叫ばれ、僕は無我夢中で走った。
地下駐車場で待機していたドクターカーに、由香を乗せたストレッチャーが乗せられようとしている所にどうにか間に合い、一緒に乗り込んだ。
「由香!!」
「見届けたよ...全部...」
「だから無理するなってあれ程言ったじゃないか...」
「あの曲...だけ...持ってく...から...」
途切れ途切れになる言葉を必死に拾う
「あの曲...歌って...待ってるから...」
「由香!!いくな!!」
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