一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

初ライブ 11

井澤が、陽介と優輝を連れて病室に戻ってきた。
井澤は来蘭の着替えを、陽介が俺の着替えを持って来てくれた。

「やっと今眠ったんだ...一度目を覚ましたんだけど、麻酔が切れたのか、痛くて目が覚めたみたいで、さっきまで痛いと泣きわめいてな...鎮痛剤入れてもらって、さっきやっと落ち着いたんだ...」

来蘭を起こさないように、病室の外に出た。

「着替えありがとうな、陽介」

「井澤から、来蘭ちゃんの傷の状況のことは少し聞いたよ...神経の損傷の具合はどうなんだ?」

「傷が回復してみないと、どの程度動くようになるかは分からないんだ...いずれにしても右手に障害を負うようにはなると思う...きっともうベースは弾けない...」

井澤はわっと泣き出し、陽介と優輝も静かに涙を流した...

「こんなことで来蘭ちゃんは負けない...負けるわけがない...来蘭ちゃんの歌声を届けなきゃ...僕らが届けなきゃ...」
怒りを携えながらも、下を向くまいと優輝が言葉を絞り出す...

優輝の言葉に、俺も井澤も陽介も噛み締めるように頷いた。
そして、下を向いて何かを考えているようだった井澤が顔を上げて言った
「あたしにベース弾かせてもらえないかな」

「井澤...本気で言ってんのか?だってお前、ヘアメイクの道に進みたいって...」

俺の言葉を遮るように井澤が

「ヘアメイクは、施したいのは来蘭にだけなんだよ...他の人にしたいとは思わないんだよ...うん...今気が付かされたわ」

「井澤ベース弾いたことあるのかよ?」
陽介が言う

「ない!」

「お前威張って言うなよ」
陽介が思わず吹き出す

「これから死ぬほど練習するから!あたしにベースを弾かせて!来蘭の右腕になりたいの!お願い!」

そう言って井澤は俺たちに頭を下げた。

俺と陽介と優輝、3人で顔を見合わせ、3人とも頷いた。

「一緒に演ろう、加奈」

『仲間だ』という思いを込めて、俺は「加奈」と呼んだ。

「猛練習して早く俺たちに追いつけよ?加奈」
と陽介
「僕らのリハ、朝までだったり結構過酷だからね?覚悟しといてね、加奈ちゃん!」
優輝も続いた。



来蘭が負った傷を無駄にはしない!

ピースは揃った!

ここからが始まりだ!!


コメント

  • 来亜子

    いつも読んでくれてコメントくれてありがとう!✨
    これから加奈には頑張ってもらわないと!
    さぁ、てっぺん目指すよ!!

    1
  • ノベルバユーザー427233

    新たなピースが揃ったね、貴方の投稿を楽しみしてますいつも!これからもコメント出来たらします!頑張れ加奈

    1
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