一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

徹夜のリハ 2

加奈との電話を終えてガレージに入ると、駆け寄って来る陽介くん。
「優輝に聞いたよ、拓海さんのこと...あの人ちょっとクセがあってアニキとも度々ぶつかってんだよ...ボーカリストとしてはすげぇんだけど、人格に難アリで...嫌な思いさせてごめんな来蘭ちゃん」

「陽介くんが謝ることないって...」

「アニキによく言っておくから!またなんか変な事言ってきたらマジで俺たちが許さねぇから!!
うちの『歌姫』傷つけんじゃねーよ!って言ってやるからな!」

「やだ、なにその『歌姫』って、恥ずかしいよー」

「あれ?さっき言ってなかったか?『自信のない自分は捨てる!』って!
いい?来蘭ちゃんはうちの大事な『歌姫』なの!本気でやるんだろ?もうそこはそろそろ自覚して?」
さすがはそうちゃんと一緒にバレー部でやってきた副キャプテン。陽介くんは言うべき事をビシッと言ってくれる所がある。これからも陽介くんにこうやって姿勢を正されるのだろうな。

優輝くんとそうちゃんは、曲の構成とテンポ感について話し合っていた。
わたしの書いた詞が、1番と2番で『暗と明』にしたのを、より演奏面でも表現しようということになり、テンポやリズム感も変えることにした。

「とにかくやってみよう!」
そうちゃんのカウントが響く

何度も何度も演奏を続けた。
気になる箇所は、止めてはやり直した。
だいぶ納得する形になってきたところで、優輝くんの録音機材で何テイクか1発録りをしたのを、休憩がてら聞いてみることにした。

PAに機材を繋いで、録った音を流す。
わたしはバーカウンターの方で乾いた喉を潤す3人から離れて、ソファに身体を沈めた...

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