一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

バイト

放課後、ついて行くと言って聞かないそうちゃんをなんとか振り切り、バイトさせてもらうライブハウスの入り口へと繋がる、薄暗い階段を降りていた...
ここはこの街の老舗のライブハウスで、今現在デビューして活躍しているいくつかのロックバンドが、インディーズ時代の下積みをしていたこともあるスゴいライブハウスなのだ。

地下特有の湿気とカビ臭さ、昔から嫌いじゃない....
最近のわたしの分不相応な扱いには、少し疲れていたから、薄暗いここの雰囲気は、妙に落ち着くものがあった。

ライブハウスの重い防音扉を開くと、Pearlのドラムセットと、マーシャルのギターアンプ、アンペグのベースアンプが置かれたステージが目の前に広がった。

「お、来たか?来蘭ちゃんかい?」

「はい!赤井 来蘭です!よろしくお願いします!」

「ここのオーナーの大森です。
吉井から聞いてるよ!
あいつも訳ありな生い立ちだからさ、来蘭ちゃんのことすごい気にかけてるみたいで、どうか使ってやってくれって大騒ぎでさー」
そう言って大柄な身体を揺らして豪快に笑った。

「吉井先輩の紹介がなかったら、こんな有名なライブハウスでバイトなんか出来なかったですから、もう足向けて眠れないです!」

「まぁでも、裏方のバイト足りてなかったから助かるよ!
来蘭ちゃんもバンドやってるんだって?
吉井が面白そうに言ってたよ、めちゃくちゃ歌上手いくせに、ボーカリストになろうとしないんだって?」

「え?吉井先輩そんなことをオーナーさんに?
わたしはベーシストですから!」

「おぉ、ベース弾くのかー、俺も元々はベース弾きなんだよ!
まーいろんな雑用頼むだろうけど、よろしく頼むね!」

「はい!よろしくお願いします!」

「一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代ドラマ」の人気作品

コメント

コメントを書く