一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

来蘭と加奈 6

怯える来蘭を一晩中撫でていた...
いつの間にか外がぼんやりと明るくなり始めていた。

こんな夜でも、朝はやって来るんだな...

この想いが届かないことくらい分かっていた...これまでも、これからも、あたしの想いは届くことはないのだろう...

大丈夫、「クラスメイトの加奈」を演じることくらい簡単なことだ。
友達として来蘭の隣りに居られたらそれでいい...


「加奈ぁ...」
来蘭が目を覚ました。

「どうした?あたしはここに居るよ」

身体を起こして、来蘭はあたしの顔に触れる...
「夢の中で加奈が泣いていたから...」

「.......」

零れ落ちる涙を見せぬよう、来蘭を抱きしめた...

「泣いてないよ、ばかだなぁ...
ほら、まだ外は暗いから、もう少し眠りな」

来蘭の寝息がまた聞こえてきたのを確認すると、枕に顔を押し当て、声を押し殺して泣いた...
「来蘭が欲しいよ...」
届くことのない声が、枕の中に消えた...

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