一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

デート(横浜) 4

〈来蘭side〉

わたしは渡された絆創膏を手に、降りてったそうちゃんにありがとうっていいそびれてしまって
「あ」
って固まった。
閉まったドアの向こうで、そうちゃんは手を振っていた。

走り出した電車の中で1人、ブーツの縁が擦れて赤くなった脚を眺めていた。
そうちゃん気がついてたんだ...

少し紐を緩めて、絆創膏を貼った。

スマホを取り出して、そうちゃんにメッセージをした
「絆創膏ありがとう。今貼ったよ。そうちゃんいつから気がついてたの?」

少ししてメッセージが返ってきた
「やっぱり痛かったんだ?もっと早くに気がついてやれれば良かったな、ごめんな来蘭...電車乗る時、ホームの階段登る時に足かばってたから変だなと思ったんだよ」

なんだかもう次の駅で降りて、そうちゃんを追いかけたいくらいの衝動に駆られて、絆創膏の箱をぎゅっと握り締めた。

「そうちゃん大好き」
ってメッセージを打って、送信しようとして手を止めた。
通話マークのボタンを押して、繋がるのを待った。

「もしもし?どうした?」
そうちゃんの声が聞こえてきた

「そうちゃん...大好きだよ」
とだけ言った

電話の向こうでそうちゃんが笑ってる
「俺のが来蘭のこと好きだけどね」
って声が返ってきた。
「気をつけて帰れよ?」
と優しい声で言うそうちゃんに
「うん。また明日ね」
と言って、電話を切った。




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