一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

中庭にて 4

来蘭がやりたかったのがバンドだったなんてちょっと意外だった。
歌いたいのか?ボーカルか?
いや楽器か?楽器だったらなんだろう
それより俺はどうすんだ?なんにも出来ないぞ?

「そうちゃん?わたしに合わせなくていいんだよ?」
俺の様子を見ていた来蘭が心配して言う


すると来蘭が話し始めた。
来蘭は小さい頃からピアノを習っていて、中学では、病気になって身体がつらくなるまでは吹奏楽部でサックスを吹いていたそうだ。でも、途中で続けられなくて辞めざるを得なくなったことが、大きな心残りのひとつなのだと話してくれた。
高校では、好きな音楽を奏でたいと、バンドって形で表現してみたいんだと、初めて見るキラキラした顔で話す来蘭に、俺は再び一目惚れをした気がした...


そんな空気をぶった斬るように陽介が来蘭に聞く
「ってことは来蘭ちゃんはバンドのパートとしては...キーボードやりたいってこと?」

首を振る来蘭

「ベースがやってみたいの」

陽介と俺はまた声を揃えて言う
「ベース?」

「ベースってね、バンドの肝になるんだよ!ルート音って言う土台になる音を出すの!かっこいいんだよ!」

音楽のことに疎い俺には、ちょっとよくわからなかったけど、来蘭があまりにも生き生きと話すから、よっぽどやりたいんだなと思った。

「ボーカルとかギターとかのが目立って良くない?」
と陽介は言う

「そんな目立つのはわたしはだめだよ...そうゆうのはやっぱりルックスのいい人間がやるべき」
と言って少しうつむいた。

たまらず俺は口を開いた
「何言ってんの来蘭、来蘭がバンドでボーカルとかやったら男連中イチコロだよ?ほんとに来蘭は自分のことなんもわかってないんだから」

すると来蘭は困り顔で
「陽介くん...そうちゃん頭も目もやられてるんじゃないかな?」
とか言い出した。

「頭はやられてるけど、目はやられてないと思うよ?」
と陽介が笑う

「おい!そこでほんのり赤くなるんじゃないよ来蘭も!」

ほどなくチャイムが鳴った。

「よし!じゃあ軽音楽部に見学行こう!」

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