五月の綿裏包針
推理

完結:7話

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五月の綿裏包針

  • あらすじ

     時代は変わっても青春は変わらない……?
     
     
     近くて遠い近未来。
     
     自らの遺伝子細胞から培養して作られる自身の好みに合った外見を持つ健康体CULTURED BODY(通称:CB)に脳を移植するCB化は世界中に浸透していた。
     そんなCB化によってストレスや病気から解放された人類は人口増加の一途をたどり、その対策として電脳世界SOCIAL NETWORK WORLD(通称:SNW)が生み出された。
     CB化した人間のみが意識を飛ばすことのできるSNW内は第二の現実世界と呼ばれ、人類は様々なアバターとなって生活し、現実世界の体を捨ててSNWのみで生きる人もいるほどだ。
     
     
     始まりの季節でもある四月――
     
     富美山楓太は生徒会、委員会、部活動の生徒三権が運営する美嶋学園高等学校に入学する。
     そんな楓太ら新入生が入学すると同時に美嶋高校内では二つの事件が発生していた。
     
     一つはボウリング部顧問による女子部員への淫行事件。
     もう一つは校内屈指の美女である生徒会書記補佐、東條那由香が被害者となった暴行未遂事件である。
     
     校内で様々な憶測や噂が流れる中、生徒会長の四十物将生と副会長の鏑木康太郎をはじめとした生徒会は事態の収拾を図っていた。
     そんな二人をよそに掴みどころのない総務委員長の天道寺日向、生徒会と対立する文化部筆頭部長古市和樹、そして校内の裏で動き回る謎の部活動潤滑部の面々は奇妙な動きを見せていた。
     
     美嶋高校専用のSNWであるIDOBAの中でも、実名を隠した美嶋校生のアバターたちが様々な憶測や考えを隠し持ちながら四月が終わりを告げる……。
     
     
     そして訪れた五月――
     
     生徒会、各委員会委員長、文化部と運動部の筆頭部長が出席する三権評議会では、淫行事件の被害者女子生徒への慰謝料や治療費として部費の削減が決定付けられそうになっていた。
     とある事情により淫行事件の真相を調べることになった楓太や、暴行未遂事件に居合わせた姉に状況を聞いた高柳桜が動き出す中、事件は思わぬ方向に向かっていく。
     
     
     ボウリング部淫行事件の裏で起きていたのか?
     そして東條那由香を襲った犯人の正体とは?
     
     嫉妬や欲望が渦巻く校内で巻き起こるSF学園ミステリー群像劇。

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