運命に刃向かえますか?神様に歯向かえますか? 。
5、戸惑い
彼は、満足したのかゆっくり離れ、再度舌なめずりをする。
「あー、甘かった。」
 そんな事を言えば、足を崩して地面に座る。相変わらずな笑みではあるが、先程の狂気は消えているように見えて。
 良くよく考えれば、凄いことをしてしまったと 真っ赤になっている私に、彼は 頬杖をしながら はにかむ。
「おいで、マリア。もう、あんな事しないから。」
 余りにも声が優しくて、引き寄せられるみたいに彼に近付き、少し離れた場所にちょこんと座る。隣に来ないんだ、なんて少し寂しそうにする彼に、口を尖らせて、
「貴方を信用できません。」
 率直に呟く。彼を信用することは出来ない。私の不幸を願う自称 "神様"。
 素直に信じられるほど、私は甘くなかった。ギリギリの気力で睨みつける私に、彼は しょうがないと云う感じで 溜息を漏らした。
「まぁ、分かったよ。でも、勘違いしないでね? 。僕は君を愛しているから、苦しむ姿をずっと見ていたい。だけど___ 時々、どろどろに甘やかして、君が僕以外の事を考えられないようにしたくなるんだ。」
 
 
っ ______ 
小さく微笑む彼。あんなに怖かったはずなのに、急に胸が甘く締め付けられる。何なんだ、この 感じは … 。
 違和感に落ち着かず居ながらも、余計 真っ赤になっていることに自分は気付けなかった。
 
 何と返せば良いか分からなくて黙っている私に、彼は 気にせず話をする。
「ちょっと長くなるけど、教えてあげる。僕と云う存在について、君が選ばれた理由について、君の世界について、これから 君が成り代わって生きる "マリア"について ___ 」
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