俺は男の娘ではなく女の子にもてたい

葵 希帆

 告白 

 夏休み前の日。つまり今日は終業式である。

 全校集会というつまらない行事を終え、教室に戻り簡単なホームルームが終わった今。

 桐谷翼は校舎裏に呼び出されていた。

 翼がそこに向かうとすでに三人の生徒が翼のことを待っていた。
 翼の姿を視認するやいなや、駆け寄ってきた。

「翼、あたしはあなたことが好き。だからあたしと付き合って」
「いえ翼さん。私とお付き合いしていただけませんか。一生面倒を見ますので」
「……私とつ、付き合って……ください」

 最初からギャル系の可愛い生徒、金髪の縦ロールのお嬢様系生徒、眼鏡をかけた小動物系生徒。

 三人とも容姿はバラバラだが、みんなとっても可愛いのは共通している。
 こんな可愛い生徒から告白されたら男子だったら両手を上げて喜ぶだろう。

 明日から夏休み。

 今、彼女を作れば明日からの夏休みはきっと薔薇色に染まるに違いない。

 翼だって男だ。

 こんなに可愛い子に告白されれば翼だって嬉しかっただろう。
 ただし相手が女の子だったらの話だ。

「……ってお前らみんな男の娘だろ――――――――」

 翼は喉から魂の雄叫びを上げる。
 そう。翼に告白してきた人はみんな女の子ではなく男の娘だったのだ。

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