自傷少女狂崎狂華の初恋とリスタート
切っただけ
「って狂崎さん。左手から血が出てるんだけど。大丈夫なの」
いつも通りの光景でつい忘れていたが、夕焼けに染まる教室で血を流しながらたたずんでいる女子高生は普通ではない。
今も滴る赤い血液。
床には血だまりができていた。
「くっくっくっ、大丈夫ですよ。いつも後処理はしてますから」
血を流し続けている狂華は平然な顔をしていた。
「でも包帯も真っ赤に濡れてるし」
「替えの包帯は持ってきてますよ」
「さすがにやばいって」
「全然やばくはありませんよ。いつもこれぐらい流してますから」
未空は急いで近づくと持っていたハンカチで止血を行おうとする。
いつも流しているからって自分で血を流す行為は全然大丈夫な行為ではないだろう。
「そんなことするとハンカチが汚れますよ」
狂華も未空のことを案じてか心配する。
「ハンカチぐらい平気だよ。それよりも僕のハンカチより狂華の方が心配だよ」
未空は保健体育で習った方法で止血をする。
未空と狂華はただのクラスメイトの関係でしかない。
挨拶もしたことがなければ、今日まで話したことすらなかった。
それでも、同じ学校に通うクラスメイトだ。
クラスメイトが一人教室で血を流していたら心配にもなるだろう。
「……」
狂華はそれ以上なにも言わずに、未空にされるがまま、止血される。
未空のハンカチがどんどん狂華の血で染まっていく。
生温かくて、ヌルヌルしている狂華の血液。
これが人の中に流れる命に温かさだった。
「……痛くないの?」
「別にそこまで痛くはありませんよ。自分で切っていますので」
「……」
自分の体を自分で傷つけている狂崎狂華。
なぜ自分で自分の体を傷つけているのか理解できなかった。
未空なら、痛い思いをして自分を傷つけることなんてできない。
「……大丈夫なのか」
「別に大丈夫ですよ」
未空はクラスメイトの生のリストカットにありきたりな言葉しか出なかった。
狂華はいつも切りなれているのか平静な表情をしている。
噂では聞いていたけれどもまさか本当だったとは。
それは狂華自身も言っていた。
『切っただけです』と。
「……でもなんでそんなことしてるんだ」
「クククッ、それは未空君がなぜオ〇ニーしているのかって質問されるのと同じことですよ」
人は自分が理解できない者を排斥する生き物である。
だから狂華はクラスから孤立している。
未空もなぜそんなことを狂華に質問したのか分からない。
自然と口から言葉が出てしまっていた。
その質問をした瞬間、狂華の雰囲気が一変するのが分かった。
それはまるでお前には理解できないと言わんばかりの拒絶のオーラだった。
「……それとこれとは別だろう」
リストカットとオ〇ニーは別だろう。
だって行為そのものだって違うし。
「同じですよ未空君。二つともやらなくても生きていけますがやらないと生きていけない人もいるんです」
その狂華の言葉にはかなりの説得力があるようにも思えた。
確かにオ〇ニーはやらなくても健康的にも身体的にも害はない。
ただ気持ち良いだけである。
でもそれとリストカットが同じなのかは全然分からない。理解できない。
リストカットってただ手首を切って自分を傷つける行為である。
今の未空はなぜこの時リストカットとオ〇ニーが一緒なのか理解できなかった。
「……あまり女の子がオ〇ニーとか言うなよ」
未空はその話題から逃げるように発言した。
「クククッ、それは性差別と捉えても良いんですか」
さっきの冷たい拒絶から一変、いたずらっ子みたいにからかってくる狂華。
狂華も一応女の子だな~と思う。機嫌がコロコロ変わる。
「そんなつもりじゃないよ。もう少し恥じらいを持てって意味だ」
「……誰も傷つかないなら発言ぐらい好きにさせてください」
「えっ、今なんて言ったんだ」
急に小声になった狂華の声が聞き取れなくて未空は狂華に聞き返す。
「クククッ、未空君はリア充ですねって言ったんです」
多分絶対違うと思うが無理に聞き出すのも野暮だろう。
いつも通りの光景でつい忘れていたが、夕焼けに染まる教室で血を流しながらたたずんでいる女子高生は普通ではない。
今も滴る赤い血液。
床には血だまりができていた。
「くっくっくっ、大丈夫ですよ。いつも後処理はしてますから」
血を流し続けている狂華は平然な顔をしていた。
「でも包帯も真っ赤に濡れてるし」
「替えの包帯は持ってきてますよ」
「さすがにやばいって」
「全然やばくはありませんよ。いつもこれぐらい流してますから」
未空は急いで近づくと持っていたハンカチで止血を行おうとする。
いつも流しているからって自分で血を流す行為は全然大丈夫な行為ではないだろう。
「そんなことするとハンカチが汚れますよ」
狂華も未空のことを案じてか心配する。
「ハンカチぐらい平気だよ。それよりも僕のハンカチより狂華の方が心配だよ」
未空は保健体育で習った方法で止血をする。
未空と狂華はただのクラスメイトの関係でしかない。
挨拶もしたことがなければ、今日まで話したことすらなかった。
それでも、同じ学校に通うクラスメイトだ。
クラスメイトが一人教室で血を流していたら心配にもなるだろう。
「……」
狂華はそれ以上なにも言わずに、未空にされるがまま、止血される。
未空のハンカチがどんどん狂華の血で染まっていく。
生温かくて、ヌルヌルしている狂華の血液。
これが人の中に流れる命に温かさだった。
「……痛くないの?」
「別にそこまで痛くはありませんよ。自分で切っていますので」
「……」
自分の体を自分で傷つけている狂崎狂華。
なぜ自分で自分の体を傷つけているのか理解できなかった。
未空なら、痛い思いをして自分を傷つけることなんてできない。
「……大丈夫なのか」
「別に大丈夫ですよ」
未空はクラスメイトの生のリストカットにありきたりな言葉しか出なかった。
狂華はいつも切りなれているのか平静な表情をしている。
噂では聞いていたけれどもまさか本当だったとは。
それは狂華自身も言っていた。
『切っただけです』と。
「……でもなんでそんなことしてるんだ」
「クククッ、それは未空君がなぜオ〇ニーしているのかって質問されるのと同じことですよ」
人は自分が理解できない者を排斥する生き物である。
だから狂華はクラスから孤立している。
未空もなぜそんなことを狂華に質問したのか分からない。
自然と口から言葉が出てしまっていた。
その質問をした瞬間、狂華の雰囲気が一変するのが分かった。
それはまるでお前には理解できないと言わんばかりの拒絶のオーラだった。
「……それとこれとは別だろう」
リストカットとオ〇ニーは別だろう。
だって行為そのものだって違うし。
「同じですよ未空君。二つともやらなくても生きていけますがやらないと生きていけない人もいるんです」
その狂華の言葉にはかなりの説得力があるようにも思えた。
確かにオ〇ニーはやらなくても健康的にも身体的にも害はない。
ただ気持ち良いだけである。
でもそれとリストカットが同じなのかは全然分からない。理解できない。
リストカットってただ手首を切って自分を傷つける行為である。
今の未空はなぜこの時リストカットとオ〇ニーが一緒なのか理解できなかった。
「……あまり女の子がオ〇ニーとか言うなよ」
未空はその話題から逃げるように発言した。
「クククッ、それは性差別と捉えても良いんですか」
さっきの冷たい拒絶から一変、いたずらっ子みたいにからかってくる狂華。
狂華も一応女の子だな~と思う。機嫌がコロコロ変わる。
「そんなつもりじゃないよ。もう少し恥じらいを持てって意味だ」
「……誰も傷つかないなら発言ぐらい好きにさせてください」
「えっ、今なんて言ったんだ」
急に小声になった狂華の声が聞き取れなくて未空は狂華に聞き返す。
「クククッ、未空君はリア充ですねって言ったんです」
多分絶対違うと思うが無理に聞き出すのも野暮だろう。
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