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百合色は夕焼けに落ちて

葵 希帆

 柊姉妹

 今旧校舎は部活棟として使われている。
 主に、文科系の部活が利用しているが、ほとんどが一階や二階に集中しており、三階はほとんど使われていない。誰だって近い方が楽だ。

「結構重いな、石膏って」

 聡は石膏を両手で抱えながら、愚痴る。
 寂れた旧校舎とは対称的に校庭からは活気のある掛け声が聞こえてくる。
 新校舎の窓を開けているのか、どこからかオーボエの音色が聞こえてくる。

 まさに青春だ。

 好きな部活に入部し、活動する。
 この学校の部活は強制参加ではないため、部活に入部している生徒はほとんどが好きで部活に入っている。

「順次もサッカー部の練習してるんだろうな」

 窓の外を眺めてもここからでは校庭が見えないので、事実は分からないがこの時間帯なら校庭を走ってアップでもしている頃だろう。
 順次はサッカーが好きで、プロになりたいと言っていた。
 高校生が掲げる夢としてはかなり大きくて笑われそうな夢だが、聡は不可能ではないと思っていた。
 なぜなら去年と 夏の大会では全国大会まで出場できたのだ。
 夏の大会ではベスト十六にまで残り、学校中がわいた。
万年県大会二回戦止まりのチームだったと考えれば、順二の功績は大きい。
 今日も冬に行われる全国高等学校サッカー選手権大会に向けて頑張っている。

「さっさと置いて帰るか」

 秋の放課後。
 窓から差し込む夕日は強いオレンジ色で、眩しくも暑さはなく爽やかな光だった。

「はぁっ……ん。ちょっと夏帆ちょっと激しい」
「ん……あぁっ……大丈夫よ秋帆。こんな旧校舎に来る生徒なんていないよ。それにホームルームが終わったばかりなんだから、みんな部活が街に行ってるわよ」
「あっぅ……ちょっと直接私のおっぱい触るの禁止」
「良いじゃない。大きくて羨ましいわ。だってあたし、小さいもの」

 美術室前。
 ここは旧校舎の三階で、しかも階段からいつも奥にある教室だ。
 昔は美術室として使われていたらしいのだが、今ではほぼ物置化されている。
 そんな教室で、二人の女子生徒が窓際の机の上に座りブラウスを乱れながら激しいキスを行っていた。

 背の小さい女子は膝立ちで、上から大きい女子の覆いかぶさるようにキスをし、大きい女子は蕩けた表情をしながら快楽に身をゆだねていた。
 小さな女子が大きい女子の胸の谷間に手を入れて胸を激しく揉んでいる。
 ブラウスから見える、紫色のブラジャーが夕日よりも眩しい。
 夕日がまるでスポットライトのように、二人の少女を浮かび上がらせていて、それと反比例するかのように黒い影が床に落ちている。

「……柊姉妹」

 聡は呆然と美術室の前に立ち尽くす。

 柊姉妹。

 この二人を知らない人はこの学校にはいないだろう。

 北山高校の二大美女。
 それが柊夏帆と柊秋帆の双子の姉妹だった。



 柊夏帆は秋帆の姉で聡と同じ高校二年生だ。
 身長は百五十半ばと妹と比べて小さい。
 明るいブラウンのボブカットで、妹と比べて活発なスポーツ少女である。
 元気があふれ出す瞳に、瑞々しい肌。
 全体的に引き締まっており、無駄な脂肪はない。
 それは胸も同じで、制服の上からはそのふくらみを確認することができない。
 推定Aカップ。
 でも、スポーツするのには最適な体である。

 一方柊秋帆は大きい。
 身長は百七十前半と他の女子と比べるとかなり大きい。
 闇のように暗い漆黒の黒髪で、腰まで長いロングヘアー。
 前髪は眉の上で綺麗に切りそろえられている姫カット。
 秋帆は夏帆と違い、どちらかというとインドアな生徒だ。
 狐のように吊り上がった目に眼鏡をかけているから、一部の生徒には恐れられている。
 全体的に肉付きがよく、それは胸も例外ではない。
 推定Fカップ。
 この胸に惹かれない男はいないというぐらい良い胸をしている。

 そんな姉妹が誰も使われていない部屋で半裸で抱き合いながらキスをしている。
 誰がどう見ても普通の状況ではなかった。
 その状況に呆然と立ち尽くしていた聡の腕の力が緩む。

 ガチャン。

 石膏の落ちた乾いた音が、寂れた旧校舎に響き渡る。

 ビクンと体を震わせながらドアの方向を見る二人。
 いけないものを見てしまって動けない聡。

 これが聡と柊姉妹の出会いだった。

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