絶対お兄ちゃん主義!

桜祭

冬休み初日

遠野巫女について
ギャグもシリアスもフリーダムな辺りやっぱり達裄の姉です。
とっても書いていて楽しい人物ですね。
名前の由来は特に無いですが記憶に残る名前という事でこの名前です。
これがギャルゲでも多分流亜、雨と同じく非攻略キャラになるでしょう。
恋を物まねキャラにした元凶。とても面白い。


遠野音について
三つ子の一番上の妹です。彼女は元気でムードメーカーにそして少しアホっぽい子のイメージです。彼女の性格は登場した瞬間に出来上がっていたので、すごく動かしやすいです。
そのぶん、キャラクターを広げようがない存在。


遠野瑠璃について
丁寧語だと恋と被るのが難しいところです。
予告をしておくと、空気になります。


遠野めぐりについて
クーデレとツンデレを混ぜた様な感じをめざしていたのですが、出来上がったのがネタキャラのめぐりさん。
この作品にて、作者が書いていて面白いキャラ第3位。
三つ子の上2人は、めぐりのオプション的な扱い。



―――――


冬休み初日。
昨日のいざこざで疲れ果てたのか三つ子達は俺が家を出る時すら起きる事はなかった。
俺もいまいち実感がない。
今日から長期休暇だから悩める時間はあるが、早速今日から学校では気持ちの整理もつかないところであった。
さて、そんな事はさておき現在流亜の家の前。
勉強道具一式の確認をし足りないものがないかチェックする。
大丈夫とわかるとインターホンの前に立つ。
実は俺、ボタンを押すのが好きである。
ファミレスの店員を呼ぶボタン、店の入り口の開閉ボタン、洗濯機の操作。
星丸と光でファミレスに行くと絶対に俺がボタン側の席に行くぐらい好きだ。
遠いと俺の方に寄せて、ボタンが押すのが好きな星丸とじゃんけんで争う程だ。
それに見かねた光が勝手に押してしまうとブーイングが飛ぶ程だ。
とりあえずボタンが大好きである。
ゲームをするのもいっそボタンを押したいからなのかもしれない。
その為かスマホユーザーだがタッチパネルは個人的好まない。
流亜の自宅のボタンの前、けっこうドキドキする。
押すのが気持ちよさそうな形をしている。

『達裄先輩ですか?鍵開いているんでそのまま入ってもらって大丈夫です』

インターホンのスピーカーから漏れる流亜の声。
なんで家前に居るって気づいてんだよ。
ボタンを押す楽しみを取らないでくれ、――気付いたらボタンを3回ぐらい押していた。

「まじうざいっす達裄先輩」
「すまん……」

3回連打された流亜は勉強を教わる側なのを忘れて、俺にため口であった。
俺もインターホンで呼び出される音が嫌いなので気持ちはわかる。
インターホンの音って『時間割いて来てんやからはよ出ろや』と言われている気分になる。

「私って後日談がないと冒頭しか出てはいけない決まりでもあるんですか?」
「言っている意味がよくわからん」

流亜の言葉を軽く流して流亜の部屋に案内される。
初めての流亜の部屋だ。
とてもきれいに片づけられてぬいぐるみなどファンシーなものが多くあった。
俺の書いたサインも額縁に入れられて、まるで好きなアイドルのポスターの如く貼られていた。

「では、さっそくベッドの下探索といきますか」
「どっちかと言うと俺が言うセリフだろ、男子の部屋に入ってな」
「やらないんですか」
「そんな時間が無駄な事するかよ」

やれやれとベッドの下に目線を下げた。
「やってるじゃないですか」と背中から蹴られた。
その後、何事もなく机に流亜、ベッドに俺が腰を下ろした。
近い距離で会話もしやすい配置であった。
机の上のコンタクトレンズのケースに目が行く。
目悪いんだ。

「今日は時間ないから急ぐぞ」
「誰のせいで時間がなくなったと思うんですか」

いつもの調子であった。
いつものというと流亜は普通に出かける時の服装で薄化粧、ツインテールと外の姿と同じであった。
別に家なんだし寝間着姿、寝癖でいいんじゃないか?
雨なんか寝癖みたいなアホ毛直らないからとそのまま学校行ってるんだからな。
あいつはあれで髪型が決まっていて違和感ないのがすごい。

「まずこの過去問を制限時間5教科トータル125分で解いてみろ。1教科25分だ。本番はリスニング問題以外同じ問題2回解くんだからな」
「そんなの無理じゃ……」
「無理しなきゃ俺居る意味ないよな」

去年の生徒2人から言われたっけ。
厳しすぎる、無茶すぎる、無理だ。
でも俺教師じゃないからそんなの知らないのだ。
流亜は黙々と鉛筆を走らせた。
真面目な生徒で俺も楽だ。
家から持ち出したゲーム機の電源を入れる。
イヤホンを付けて星丸に借りた萌えは最高だがシナリオはよくわからんという評価のギャルゲーを始めた。

なんだかよくわからないままヒロインのルートに入っていた。
ヒロインのAさんとBさんばっかりしか登場しない共通ルート、似たような選択肢、突然消えるAさんと主人公。
突然現れたCさん目線での話、主人公は置いてきぼり。
そしてDさんルートに突入。
萌えよりシナリオを取る俺にはクソゲーだったとエンディングを迎えない、セーブもしないまま電源を下ろした瞬間125分経ったとアラームが電子音を鳴らした。

「どうですか?」
「ふんふん。ざっと256点、最低あと194点。でも時間の都合で解けてない問題も多いな。ギリ300いかないと仮定するか」
「あれ、見ただけで採点終わったんですか?」
「終わった。この過去問何百回としたから答えも配点も覚えたからな」
「それ覚える必要ありました?」

数学の点数が足を引っ張っている。
文章題なんか間違いだらけ、解けないし時間ないしでやってすらない問題もある。
去年より簡単に終わるかな。

「お疲れ。これから俺は君の為に時間を出来る限り君の為に使う、金も惜しまないから全力で取り組め」
「私だけの先輩ですか!?」
「おう!流亜だけの俺だ」

赤いリンゴになる流亜。
普通ショックで顔を蒼白させる反応じゃないのだろうか。

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