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絶対お兄ちゃん主義!

桜祭

三つ子加入

「3人共聞いてくれ」

三つ子達の雑談も終え、話題が途切れた。
新しい話題に切り替わるタイミングを俺は恋と姉さんが出て行ってから伺っており、案外早い時間で始められそうだった。
3人は何事だと、俺に向いていた。
俺は今から嫌われる一言を言わなくてはならない。
恋に前に絶対に人前で言うなと何回も念を押された言葉。
恋の兄貴として忠告した言葉。
『なるべく俺に関わりを持つな』、はっきりと言うんだ。

「俺に、……俺に」
「お兄ちゃん」
「え?」

足音も立てずに恋は外から居間へ来ていたのであった。
ちょうど言うタイミングがわかっていたかのように。
どうしてお前は俺の退路を塞ぐんだ。

「もう変に真面目ぶって話するのやめてくださいよ。兄妹なんだから呼び方を決めないとですよね」
「あ、あぁ……」

恋の表情と口はとても機嫌の良い声の明るい声であった。
しかし俺には彼女を怒らせてしまい、絶対にその言葉を言わせない明確な意思が見て取れてしまった。
――わかったよ、俺はもう言わないよ。
俺は両手を上に挙げて降参のポーズをした。
それを見た恋は俺にまた同じ顔で笑うのであった。
この表情は俺の事を理解して心の底から笑った機嫌の良い表情だった。

「そうだないつまでも遠野先輩は変だしな」
「というか私達も八重坂から遠野になったんですね。遠野瑠璃、遠野先輩の奥さんになったみたいですね」
「は、はは……」

瑠璃の言う事は冗談なのか本気なのかよくわからない。
しかしドキッとくるものがある。

「ユキの奥さん?まさか~」

こいつなんかよりは。
というかこいつとユキの関係がよくわからない。

「俺の事はとりあえずわかったな。じゃあ一応君達の巫女じゃない方の下の姉も紹介しないとな」
「お兄ちゃん、一応ってなんですか?」
「なんでもないぞ」

だって姉じゃなくて完全に妹に見えるもん。
一番幼そうな瑠璃より幼そう。
音とめぐりなんか高校生名乗っても納得出来るものだから。

「遠野恋です。皆さんの1つ上の学年です。くれぐれも間違えないようにしてください。年下に扱ったらプンプン怒りますよ」

そういう事言うから年下に見られるんだぞ恋。
まぁ指摘しない。
恋の可愛さと幼さはキープしなくてはいけないからな。

「先輩の嘘かと思ったら本当にあんた姉なのかよ!」

怖いもの知らずの音。
つーか俺の嘘って失礼だろ!

音の言葉に静かに闘志を見せる恋。
そして一言。

「――遠野音、回文ですね」
「は……?何をバカな……っ!?」

音、そして俺ら3人は恋の言葉にはっとした。
トオノオト。
上から読んでも下から読んでも同じ文。
新聞紙、トマト同類であった。

「私に逆らいますか音?」
「ごめんなさいお姉ちゃん」
「お姉ちゃんに逆らわないでくださいね」

なんか恋が黒く見えた。
というか俺と関われば関わるほどこいつ強くなっていくような気がする。
戦えば戦う程強くなる戦闘民族なのだろうか?
光も昔はあまり手を出さなかったし、星丸ももう少しバカじゃなかったし、雨ももう少し大人しかったし、流亜もあんな喋る奴じゃなかった。
あれ、俺に関わるとみんなおかしくなっていってね?

「音に瑠璃ちゃん、めぐりちゃんにとても大事なお話しがあります」

俺の大事な話を遮った恋は自分の大事な話があるらしい。
音だけ呼び捨てについてはスルーしよう。

「彼、私達の兄遠野達裄」
「俺?」

俺に関係ない女の子同士の話だと傍観していたが、まさかの台風の目である。
さて、どんな災害を残すのか気になった。

「彼をお兄ちゃんって呼ぶのは私だけです!長女命令です」

どーんと胸を張る恋。
正直どーでも良かった。

「絶対お兄ちゃん主義だけは渡しません」
「え~?私も先輩の事お兄ちゃんって呼びたかったな」
「ごめんなさいです瑠璃ちゃん、でもこれだけは特命なんですよ」
「残念です。ならお兄さんで妥協します」

しょぼーんとする瑠璃。
というかそんな特命を出した事などない。
しかし俺が他の子にお兄ちゃんって呼ばれる事にジェラシーでも感じるのか?
本当に可愛い奴だなぁ。

「あたしは自分の上、特に男の兄貴が欲しかったんだぜー。それが遠野先輩なのは引っかかるけどな」
「ユキを兄なんて呼ばないんだからね!」

あははと笑う音。
プイっと俺から目を背けるめぐり。
しかし急に賑やかになったなー。

……あれ?
明日恋の紹介だけのつもりだったのにこの三つ子も紹介するのか?
光、星丸、影太に?
…………これ流亜を誘うのは無理みたいだな。

「音達って親が亡くなったばかりなのに元気なんだな」
「いつまでもくよくよしててもな。オカン居なくても今まで3人で頑張ったんだからな。1人じゃ元気無くても3人で元気になるんだ」
「そっか、良い話だな」

俺は1人では何も出来なかったよ。

今日は一応パーティーだったのだがこんな事になって親睦会の様になってしまった。
明日が本番の様なものだからいいか。

「ねぇユキ」
「どうしためぐり?」

完全に俺への呼称はユキらしい。
別に呼びなれない兄貴やお兄さんより反応しやすいしな。
ちょっと久し振りの呼び方でむず痒い気持ちもあるけど。

「ユキって彼女居るの?」
「えっ!?」

ゴホゴホと唾がどっかに流れてしまい咳が出てしまった。
そうだよな、こんな質問くるよな。

「いや、居ないよ」

そう言うと何故かめぐり以外の妹達も別の話をしてたのにこちらになだれ込んできた。

「お兄ちゃんってどんな子が好きなんですか?」
「え?……ごめんわからん」

恋は「え~」と少し期待外れな答えだったらしく不満ありげであった。

「でも今日兄貴達、男連中でナンパしてたからあの3人みんな彼女なしだぜ」
「星丸だけ居るけどな」
「お前あんな奴に負けてるんか」
「う、うるせっ!」

星丸に彼女居て、俺に居ない事はコンプレックスに近い感情を持っている。
あまり触れられたくない。
というか負けなんて言うな!

「でもお兄さんモテますよね?」
「全然ダメだよ」
「え!?」

何故か嬉しそうな瑠璃。
そんなに俺がモテない話が面白いかよ……。

「ねえユキ?」
「どうしたよ?」
「……えっと、その……」

赤くなってモジモジと髪をいじったりして極力俺に顔を合わせなくなってなにか考え事らしい。

「なんでもない。こっち見んな」
「え?なんで怒ってんの?」

理不尽にめぐりにあしらわれた。
でも機嫌が悪いみたい(ずっとだが)なのでなにか喜ばせてみたいな。

「でも俺がユキなのかわかんないけどさ、でもユキって奴は幸せだな。お前みたいに人を想ってる良い奴にいまだに覚えられてさ」
「そ、そうかな?」
「お前美人だもん。三つ子揃ってるとすげー絵になる。羨ましいなユキは」
「あうぅ……、変な事言うなよぉ。私なんか性格悪いんだからぁ」
「性格を自分が決めるな。それを決めるのはお前じゃなくて周りの人だろ。俺から見ると俺には冷たいけど姉2人のお世話に着いてあげてるお姉さんみたいで良い性格じゃん。末っ子なのにな」
「……たらし」



そんなこんな今日のパーティーは終了した。
しかし、明日の本番のクリスマスパーティーにもこれと同じくらい大きな変化がある事を俺はまだ知らない。

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