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絶対お兄ちゃん主義!

桜祭

地味な嫌がらせ

2人が去り、私が用事があるという事なので私から話を切り出す事にする。
前に「とりあえず歩きながらにしましょう」と達裄先輩を促した。

「達裄先輩にお願いがあってきました」
「んだよ急に畏まって。俺とお前の会話なんて嘘と冗談ばっかりじゃないか」
「そうですねー」

どうしてこんな仲になったのだろうか?
いや、達裄先輩からインパクトがないとか言われ続けた結果こんな仲になったのか。

「それでこの間の件の事です」
「あー、あれな」

達裄先輩は思い出したとばかりにひらめいた顔だった。
ようやく話を切り出せた、気持ちが高ぶってくる。

「うん、この間聴いたよ。星丸はお前に興味ないってさ。雨一筋だって。マジドンマイ」
「その話は聞きました」

これで3度も聞いた話だ。
というか達裄先輩自分で言った事も忘れてるし。
でもそういう人結構多いよね。
達裄先輩は学力高いくせにすごく物覚えが悪い。
多分授業も内容のみ理解して、先生がしたくだらない雑談や授業の過程は覚えてない効率的な覚え方でもしているのかもしれない。
もしかして色紙に書いた事も忘れてないよね?
信じて良いよね?

「あ?そうだっけか。他になんかあったっけ?」
「え……、覚えてないですか?」

嘘ですよね?
お願いです、嘘だと笑ってくださいよ。
焦りと不安。
このまま私は大見得を張った痛い女になってしまうのかと考えると達裄先輩から見て私はそんな程度だったんだなって突きつけられてしまっているようで。

「だから俺今言ったばかりじゃんよ」
「……」
「『俺とお前の会話なんて嘘と冗談ばっかりじゃないか』」
「……ッ!?」

とどめ、さされちゃたなー……。
私って本当にそんな程度で、勘違いして、勝手に好きになって。
もう達裄先輩に縋れないな。
相手にしてもらっていた今までが異常だったんだなぁ。
熱が一気に引いて体が冷たくなる。
頭痛い。
胸の痛みが無くなったのに、頭の痛みが発症しちゃうなんて。

「何、泣いてんだよこのバカ」
「泣いてなんか……いな、イタッ……」

うー。
達裄先輩がおでこにデコピンしてきたー。
暴力振るったー。
なんなんだよこの先輩最低だー。

やれやれと見下している様な仕草の達裄先輩。
なんて返事してやろ。
なんて言って別れてやろ!

「だから言ってんじゃん。『俺とお前の会話なんて嘘と冗談ばっかりじゃないか』って。俺が青高目指すなら頼れっていうメッセージって会話で伝えたわけじゃないだろ。わざわざ流亜の為に書いて伝えてやったんだよ。つまり会話じゃないから嘘じゃないって事だろうが」

は……?
理解が追い付いていない。
今先輩なんて言ったの?

「俺がさっき言った『他になんかあったっけ?』って言葉の方が嘘って事だろ?何引っかかってんだよ。お前が国語の点数悪いって事わかったわ」
「せ、先輩……」
「ごめんな、からかって。まさか泣くって思ってなくてさ。お前なら笑ってくれると思ったんだよ」

「ごめん」とまた呟いて頭を撫でていた。
こんなの予想もしてなかった。
ずるい、本当にずるい先輩は!

「わ、私青高受験したいです。……こんなにからかったって事はもう絶対に合格させてくれないと許さないですから」
「いや、それは君の頑張り次第だろ……」
「今日は家まで送ってもらいますよ、手貸してください」
「わかったよ」

達裄先輩が大きな右手を差し出したので私は左手で手をぎゅっと繋いだ。
こんなにからかったんだから恥ずかしい目に合わせてやる。

「……なんで恋人繋ぎ?」
「地味な嫌がらせです」
「お前可愛いな」

さらりと可愛いとか言わないでくださいよ。
顔赤いまま先輩と喋れないじゃないですか。

冷めた心を一気にまたドキドキに熱くして。
私受験生ですよ、風邪引いたらどうするんですか!

達裄先輩と手を繋いで歩きながら今後の話を始めた。
手を意識しちゃって話を聞き逃してしまわないか不安が残るところ。

「まずは冬休み初日から始めるから。それまで俺も教材集めておくから」
「そんなんで間に合うんですか?」
「どうせ早く始めても忘れちゃ意味ないからな。言っとくが妥協は一切しないからそのつもりで。そして受験3日前は学校休んで1対1でやるからな」
「わ、わかりました」

去年の経験からくる自信なのか、とても達裄先輩は目が本気だった。
なかなかに見れない光景かもしれない。

「じゃあお別れだな。またな流亜」
「ありがとうございました達裄先輩!」

私の家の前で別れた。
この家までの短い距離がとても残念で、もっとお話しをしていたかった。

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