兎と聖女、鬼と王女のぶらり旅〜チートだけどのんびり生きたい〜

みどりぃ

9 バイソン祭りじゃーい

「ねぇ、お父さん。皆んな大丈夫かな?」
「ん?大丈夫だろぉ。まだ本格的に寒くなったワケじゃないし、結構魔物は居るはずだぞぉ?」

 昼も過ぎてしばらく経つ頃。私は家事を一通り終えてリビングのテーブルに座ってお父さんと話していた。

「もう、違うよ!皆んな怪我とかしてないかなって意味!」
「あっはっは!すまんすまん。でもその心配は多分いらんだろ」

 お父さんは笑いながら謝る。
 からかわれた、と頬を膨らませてしまうが、今はそれどころじゃない。

「だって、いつもならこの時間にはオウガもリリアも帰ってきてるでしょ?」
「あー、まぁそうだなぁ。リリアはともかく…オウガは今日はレンも居るからじゃないかぁ?」

 レンが居るから?あぁ、オウガとリリアでレンをフォローしてるから遅くなってるって事かな。
 でも確かにそれなら安心かも。オウガもリリアも強いし、その2人が一緒にレンといるなら大丈夫な気がしてきた。

「そっか!なら安心だね!」
「ん?安心?…まぁそうだなぁ、心配はいらんだろ。それより晩ご飯の準備でもしておこうか、そしたら皆んな帰ってくるだろ」

 なんかお父さんが首を傾げてるけど、確かにご飯が出来る頃には皆んないつも戻ってくる。
 だったらと私は立ち上がってキッチンへ向かった。

「今日はたくさんお肉が手に入るだろうし、置いてた干し肉とかも使っちゃおうかなっ」

 疲れてるはずの皆んなに力がつくようなご飯を作ってあげなきゃ。お父さんも肉が嬉しいのかそうしよう!とか言ってるし、今日は肉料理だね。

 火の準備を始めながら、皆んなの帰りを心待ちにしていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 それからしばらくして、下処理や仕込みをしてる頃。がちゃっと扉が開いた。

「おかえりー。はぁーもー疲れたー!」
「おかえりリリア!お疲れ様!」

 そこに立っていたのはリリアだった。珍しく疲れた様子を見せる彼女に、コップに入れた水を渡しながら出迎えた。

「ありがとフィア。んー、水が美味しいわね」
「良かったぁ。それより今日はいつもより遅かったけど、怪我とかしてない?」
「ん?いや怪我なんてしてないわよ。心配しないで」

 そう言って頭を撫でてくれるリリアは、振り返って外に目線をやる。それに釣られるように目線を向けると、そこには高級食材のバイソンがいた。

「これを持って帰るのに苦労したってだけよ」
「うわぁ!バイソンだ!すごーい!」
「ま、まぁ傷がちょっと入ってるけどね…」

 確かに全身傷まみれだけど、表面を削いで刻んでサイコロステーキや煮込みに回せば問題ない。多分奥の方は保存出来ると思うしね。

「全然大丈夫だよ!明日はバイソン祭りだね!」
「そうね。まぁ喜んでくれたなら良かったけど、やっぱりアグゥが食べたいわ…」
「あ、そうだよね。リリアってアグゥをよく持って帰るのに、今日は居なかったの?」
「そ、そうね。ちょっと見当たらなくて…」

 引きつった笑顔で返すリリアにそっかーと返しておく。
 リリアって結構大雑把なところがあるし、きっとアグゥは見つかったけど逃しちゃったのかな?

 そんな話をしていると、ドシンと外から音がする。見てみると、オウガがバイソンを下ろしているのが見えた。

「おかえりっ!うわぁ、オウガもバイソン捕まえてきたんだ!」
「おう、これはリリアのか。相変わらず雑だな、キズまみれじゃねェか」
「うるさいわね!いいじゃない、フィアも大丈夫って言ってるんだし!」
「はっ!フィアにしっかり感謝しろよ?」

 早速言い合いを始める2人。微笑ましい光景だけど、1つ気になった事があった。

「あれ?ねぇ2人とも、レンはどこ?」


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