兎と聖女、鬼と王女のぶらり旅〜チートだけどのんびり生きたい〜

みどりぃ

6 卑怯な親父と寝ぼけた兄弟

 朝から厳しい戦いをしたからか、なんかやる気が起きない。

「オウガ、ダメだ。今日はやる気が出ない…」
「あァ?いつもの事だろ?」

 兄弟分はどうやら寝ぼけているらしい。俺だってもう起きてるのに仕方ないやつだな。

「まぁ良かったじゃねェか。今日は上手くやりゃすぐ終わるぞ。食糧調達だけだ」
「それダメなら長引くやつやん…」
「お前らなら大丈夫だろぉ?ちっと冬を越すには厳しいんだ。このままじゃオウガとレンが飯抜きになっちまうぞぉ?」

 親父め、飯を人質にするとは卑怯な。そのやり方、参考にします。

「親父、俺みたいなウサギちゃんに危険な森に行かせるのか?」
「魔物なんかはオウガとリリアに任せていいぞぉ?お前は木の実やら山菜を頼む。逃げ足なら負けんだろ?」

 こちらの意見を通しつつしっかり仕事を押し付けてきやがるとは卑怯な。そのやり方も参考にします。

「つぅかお前も魔物狩れば?案外楽勝だって」

 ここで兄弟分が俺を殺しにかかってきた。あれ、俺なんか悪い事した?

 とは言え実際そっちの方が楽なんは確かなんだよね。
 木の実や山菜と違って魔物は気配があるから見つけやすいし、でかい魔物ならすぐにノルマの量をクリア出来る。

 うーん、あんまり力を見せると仕事が増えそうだから隠してるけど、今日はだるいしサクッと魔物を捕まえてくるべきか?

「まぁ状況次第でチャレンジしてみるわ」
「そうしな」
「やめときなさいよ。嫌よ?倒した魔物の腹からアンタが出てくるなんて」

 どうやら身支度をしていたらしいリリアが戻ってきたようだ。
 まだ食休みに勤しむ俺とオウガと違い、やっぱり真面目なリリア。

「そんなやばそうなヤツなら逃げるよ。心配してくれてありがとうリリア姉ちゃん」
「だ、誰がアンタの心配なんか!」
「いやそこは少しはしてくれよ普通に」

 リリアは姉ちゃん呼ばわりするとなんか怒る。面白いからたまにやるけど、やりすぎたら後が大変だから見極めが必要だ。
 まぁ俺くらいになれば楽勝だけどね。

「リリア姉ちゃん、なんだかんだ優しいもんな。大好きー」
「こんのっ…!」

 がんっ!と孤児院に鳴り響いたんじゃないかって音が俺の頭頂部から。あれ、今日は見極めが甘かったか。

「お前、毎回思うけどリリアをからかう時は加減しろよ」
「ん?いやそこらへんの見極めは弁えてるけど?」
「いや全然だぞ、下手くそすぎんだよ」

 オウガが呆れた口調で言ってくる。全く、まだ兄弟分は寝ぼけてるようだ。

「それよりお前らも早く準備してこいよぉ。いつまでのんびりしてんだ」

 親父に言われて仕方なく部屋に戻って準備をする俺ら。しゃーない、さくっと終わらせて来よ。
 まぁ準備といっても汚れてもいい服になるだけだ。武器とか持ってないし。あれだ、課外授業とかと同じノリの服装になるだけだ。

「いってらっしゃい、気をつけてね」
「サボるなよぉ?飯抜きは嫌だろぉ?」
「親父、なんで俺を見て言う?」

 天使みたいな笑顔と人の悪い笑顔に見送られて俺らは孤児院を出た。

 森に向かう道中に今日の段取りを話し合う。

「私達が連携なんてとれるワケないし、別行動ね?」
「あれ?俺1人で森に放り出すの?」
「賛成だ。あとは集合するか帰りも各自かだな。もうここまで来たら各自ノルマクリアで帰宅でいいか?」
「そうね。わざわざ時間や場所を合わせるのも逆に手間だし、そうしましょ」
「ねぇどっちかついてっていいかな?いいよね?」
「よし、んじゃ解散」
「はいはい、また後でね」
「俺の声聞こえてないのかな?」

 森に入るなり散り散りに歩き出す2人。俺はポツンと残された。俺可哀想。

「ひどくね?」

 思わずひとりごちりながら、俺も森へと歩いていく。

 まぁ魔物倒してもバレないし結果オーライかね。
 山菜や木の実を探して、もし良い感じの魔物がいたらゲット。これで行こう。

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