兎と聖女、鬼と王女のぶらり旅〜チートだけどのんびり生きたい〜

みどりぃ

5 刺客との攻防戦

 皆んなが寝静まった頃。前世と違ってホントにほとんど音もしない外の空間に、妙な雑音が混じってる。

 俺ものんびり夢の世界に飛び立ちたかったけど、そうも言ってられないみたいだ。
 自分の部屋から音を立てないように抜け出し、そのまま孤児院の事へと無音で出て行く。と言いつつ扉を開ける音はどうしてもしちゃうんだけどさ。

 とりあえずどうにか外に出て雑音へと耳を傾ける。
 多分3人組くらいかな?あんま聖徳太子さんみたいな聞き分けとかの技術はないし、適当だけどね。

 とりあえずすぐ終わりそうで一安心。俺は体の中にある魔力を属性変換していく。
 
 なんか魔力を魔法の性質に合わせた属性に変換して使うのがこの世界のやり方みたいなんよね。
 でもってその変換出来る属性の種類がそのままその人に扱える魔法の種類になると。

 ちなみに俺の属性は名前は知らん。神術のひとつを扱う為のもんだし、神属性になるんかね?――なんか痛々しい感じの名前になってしまうから早急に別のを考えよう。
 とまぁそんなこんな考えてる内に属性変換を終えたんで、発動。

「『神転身』」

 やっぱ詠唱とか名前言ったりするのは慣れない。いつか無詠唱で出来るようになってやる。
 それまでは人前では使いたくない。なんで?恥ずかしいんだよ、年頃の俺的には。

 何はともあれ発動した。夜だし目立つから頑張って抑えてるけど、やっぱり漏れ出してしまう白金色のオーラ。
 相手さんにもこれでバレたろうけどーー関係ない。

「――!」
「ぅっ!」

 声を上げる間も与えず2人に腹パン。瞬殺だぜいぇーい。

 アホみたいな身体能力や五感、身体感覚、知覚、強度が手に入る『神転身』。よくある身体強化とかの上位互換みたいな感じ。
 おかげで向こうが反応する前には相手の懐に入ってよいしょー。

 こんな感じで3人倒したった。多分もう仲間も居ないだろうし、あとは森の方にぶん投げときゃ魔物が食ってくれるだろ。
 そうと決まればこいつらを掴んでどりゃっしゃーい。おお、結構飛んだんじゃねこれ?新記録かも。

 こんな感じで片付けてハイ終了。
 ほんとなら1人くらいは残してここに来た理由なんかを聞き出した方が良いんだろうけど、眠たいからナシで。

 まぁどうせウチの誰かを狙ってる刺客だろうしなー。

 とか考えながら部屋に戻ってベッドに潜り、即夢の世界に旅立った。あれだ、やる事やって寝るのって気持ち良いよね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 翌日の朝も早くから刺客が送られてきた。

「レン、起きてよぉ」
「……今日は俺に任せて寝てていいってオウガが言ってたしぃ」
「そのオウガに起こして来てって言われたんだけど…」
「わかったわかった、起きたから先戻ってていいよ」
「嘘つきー、そう言って寝るんでしょー」

 オウガからの刺客か。それよりフィアめ、成長したな。前は簡単に騙されてくれたのに。

「……フィア、いつも朝からお疲れ様。疲れてるだろ?ほれ、おねんねしなさい」

 ならば作戦変更。ジト目をしてるフィアに少しスペースを空けてベッドをポンポンと叩く。
 もちろん来ないだろうけど、フィアは子供扱いしたら怒るし、怒って出て行くなりするはず。
 
 もう半分くらい意地になってるだけだが、ストレート負けはなんか嫌だし。

「ん、え?わ、えぇ、ん?」

 ん?なんかすげぇ混乱してる。予想と違うリアクションにこれはストレート負けかと観念。無念なり。

「えと、じゃあ、……少しだけだよ?」
「うん、気が済むまでどーぞー」

 まさかの勝利。口はいつも通りに動いたけど、内心びっくりだ。でもラッキー、もうちょい寝れる。
 片目を少し開けて横目に見ると顔を赤くしたフィアが居た。ただでさえ小柄なフィアが縮こまってるから小動物みたいになってる。

 こんなんでこいつは寝れるのか?睡眠とは副交感神経か優位な時、つまりはリラックスしてる時でないと上手く寝付けない。こんな力いっぱい縮こまってるようじゃとか思ってる途中に俺は寝てた。

「コラお前らぁ!!」

 と言っても10分後くらいには親父が来てまとめて叩き起こされたけど。まぁ二度寝は成功したし良しとしよう。
 てかフィアがちょっと寝ぼけてる。まさかあの状態からこの短時間で眠りにつくとはーー疲れてんだな。今日はちょっと労ってやろ。

「ったく、お前は自由すぎるわ!もうちょっとくらいウチのルールを守らんかい!」
「えぇ?守ってるって。今もこうして朝から”皆んなでご飯”に行ってるだろ?」
「嘘だろぉ?お前の記憶力どうなってるんだ!都合よく書き換えられる機能ついてんのかぁ?」

 朝から元気な親父にドヤされながらテーブルへと向かう。
 後ろを歩く寝ぼけたフィアが危なっかしいので労りを込めて手を引いてるけど、親父のやつマジで俺にしか怒らないんだけど。一応はフィアも同罪じゃないんかね?

 まぁいいか、とテーブルにつく。オウガが意味ありげに笑い、リリアは呆れたような顔をしている。

 俺はとりあえず勝利報告として2人にピースしてみせた。
 それを見た親父に少しは反省しろと頭を叩かれたけどな。

「あー、なんかいつも通りの朝って感じだわ」

 そんなオウガのセリフが孤児院に響いた。

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