夢日記

くらうん

後ろにいた人

「みんな今日はお疲れ様!」

恭二はそう言うとみんなをさっさと帰らせようとしました。

「この頃、残業とかうるさいし、うちには残業代払える余裕なんてないんだからね」

笑いながら話す恭二から見送られて私たちはそれぞれ家に帰ることにしました。


今年の夏、私はアルバイトとして海の家で働き始めました。といっても恭二は姉の幼馴染で、すなわち私とも幼馴染のようなものでした。


その日は印象的な日でしたから書き残しておこうと思います。

メモ:アルバイト当日の夜のこと

他の二人のバイト仲間が帰った時、私も帰ったことになっていました。

実際には帰ったふりをしてみんなをまいた後、私はいつも通り恭二の待つ海の家へ戻りました。

「うまくまいてきたか?」恭二はそう笑うと、ふざけながら私の頬にキスをしました。

私たちはずいぶん長い間付き合っていました。他のアルバイトにバレるとやりづらくなると言う恭二の提案に少しの不快感を覚えながらも、私は従順な彼女を演じました。

「私、そう言うのは得意だから」と私は笑いながらモデルのような歩き方で恭二をクスッとさせました。


適度に恋人らしい会話を続けた後、一緒に家に帰ろうと伝えましたが、恭二は今日は遅くなるんだと私の提案を遮りました。


不思議に思いましたが、毎日一緒にいてはマンネリ化するという世間の言い伝えに従うことにしました。


じゃあ今日は帰るねとなるべく明るい笑顔を見せた後、私はゆっくりと家に向かって歩き始めました。

家に着くといつものようにベットに倒れ込み

音楽を聴いていましたが、気づいたら寝てしまっていました。


おきた時間はもう深夜を超えていました。


その時スマホの着信音が鳴り、手に取ってみると恭二からでした。

「俺今変なやつ見ちまった!!!!」恭二は声を荒げました。

「どうしたの??どろぼう??」





「違う!!ピエロ!!!」「いま帰ろうと思ったんだよ。そんで電気消したらなんか気配がしたから後ろ振りむいたらピエロがいたんだよ!」「すげーキラキラしてて帽子もかぶってた!顔は白塗りだったし、にやにや笑ってや....................................................」



そこで電話は途切れました。何回かけても無駄でした。

ピエロと言われてもよくわからなかった私は強盗を疑いました。夏の海水浴場には酔っ払いやチンピラの類も多いでしょうしとても自然な考えだったと思います。

私は慌てて警察に電話をし、事の成り行きを説明した後急いで海水浴場へ向かいました。

しかし警察の出番はなかったようです。

そこには煌々と燃え上がる炎だけが夏の夜風にたなびいていたからです。


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