自重を忘れた少年は貴族になる

時雨古鷹

謁見

「ねえ俺、謁見の仕方知りませんよ」

 謁見の仕方を知らないフィルは謁見の間に案内してくれる人に聞いた。そもそもこの国の歴史で初の平民が謁見をするのだ。

「絨毯の切れ目で膝をついてください。あとは陛下がその場その場でお声をおかけになるはずです」

 扉が開くと同時に横に並ぶ貴族の人たちの視線が集まった。フィルは気にせず進み絨毯の切れ目で膝をつく。

「面をあげよ」

 低く威厳のある声がし顔を上げるとイケメンの国王が見えた。横には宰相だろうか。三国志の関羽みたいなひげを蓄えて険しい顔をしている。

「宰相、報告を」

「はい、かしこまりました」

 宰相の声は某アニメの二刀流使いのような声をしていてふきだしそうになった。

「このたびシーラ王女殿下が御帰宅中に上位種を含むゴブリン約百の群れに襲われた」

 会場がざわつく。シーラ王女殿下は無事なのかとかそれがこの平民のガキとなんの関係があるのかという声が上がったがそれを宰相は静め続けた。

「騎士達は犠牲を出しながらも馬車を守ろうとしたが無駄に過ぎなかった。その際一人の冒険者が助太刀に入った。その冒険者は中級魔法の『ファイアボルト』を無詠唱で発動させ2本の剣を巧みに操りゴブリンの群れを一掃した。さらに聖女様しか使えないはずの『パーフェクトヒール』を使い騎士達を回復した。その冒険者は名をフィルといい今この場にいる。報告は以上、陛下」

「うむ我が娘シーラを助けたとしフィルを男爵に叙爵する。フィルよいな」

「はい謹んでおうけします」

 これで謁見は無事終わるはずもなく太った貴族が出てきた。

「恐れながら陛下!このようなガキに叙爵などなにを考えておられるのですか!!考え直してください!」

 少しイラッときた。それは国王もおなじだったようで顔を赤く染め怒っていた。

「異論は認めん。フィルこの馬鹿貴族をどうにかしてくれ」

 威圧がいいよね。そう思ったフィルは徐々に威圧を強めていきながら

「どこまで耐えられるかな~?」

 馬鹿貴族は徐々に顔を青さめざめさせ一緒にきていた婦人も青ざめていった。

「平民のガキ!夫と私の威圧をときなさい!」

 まあ解くはずもなく強めていくと両方プルプル震えはじめて婦人が涙を流しはじめた。どうやら耐えられずに漏らしたようだ。その夫も漏らしやっと威圧を解いた。

「陛下、これでよろしいでしょうか」

 呆気にとられていた国王は気を直しゆった。

「うむ。これにて謁見を終了する。フィルは詳細を話すので明日王城にこい。服装は冒険者の格好でよいな」

「かしこまりました」

 これで謁見は無事?終わった。



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