異能学園 ~異能がクズなんじゃない。使用者がクズなんだ~

1:本当に居るキモい名無し

No.001 異能力発現

 始まりは俺、浅利あさり海渡(かいと)が中学三年生の寒い寒い冬の頃だった。
 俺はこれまで異常な程に、怪我をしたことがなかった。そう……異常だったんだ。

 家族旅行。石巻のとある萬画館の帰り道。
 そこで、俺はトラックの暴走に巻き込まれ、諸にトラックとぶつかってしまった。俺の身体は浮遊感に苛まれ、思わず、嘔吐してしまった。館内の飲食店で食べたばかりの限定メニューが俺の身体から離れていく。 ……美味しかったなぁ、ケーキ……と目尻を濡らしながら地面をズザザザザと転がって行く俺。

 ……………………。
 ………………。
 …………。
 ……。

「なんか、生きてる気がする……」

 俺が目を覚ますと、救急車で、その中の座席に座り、腕を組み、唸る親父と救急隊員がいた。

「やっぱり『異能力』ですかね……」
「でしょう……ねぇ…」
「……そうですか…」

 何の話をしているのだろうか。まだ少し微睡み心地なので、頭が働かない。今、『異能力』って言ったのか?

 説明しよう…『異能力』とは…。2000年……サムズアップする主人公が注目を集めていたあの年。その日、一人の人間が一つのウイルスに懸かり、身体を変質させた。それが『異能力』と『異能力者』の始まりだ。

 件のその人間は、『異能力』の発現に気付かず、2年を過ごしウイルスを人へ人へと移していき、ウイルスは数を増やしそれぞれに個性を宿した。とあるウイルスは『炎』をとあるウイルスは『風』を。といったように多種な能力を宿したウイルスによって……地球総人口の約半分が何らかの異能力をもつカオスな社会になった。ウイルスによって手に入れた『異能力』は遺伝していき……100年後にはすべての人間に異能力が宿っている超人社会になるという。

 ふむ……頭が働かない。 ……『異能力』が確認された……ということは…誰かから感染したのか…。小学生の頃のあのA型インフルエンザの時か? 併発していたのか? いや……A型インフルエンザというもの自体がウイルスによる勘違いだったのかもしれない。 ともあれ、俺は異能力を手に入れた。
 ……ふふふ? あんなことやこんなことが出来るね?



「次の方~。浅利 海渡さ~ん」

 そして現在。
 俺は我が県宮城県に敷かれた国営の異能研究専門機関にやって来ていた。血を取られ、幾つか(500問程)質問に答え、今は俺の担当の萎れたババアに検査の結果を聞く、という段階だ。

「はーいっ! 浅利です! ボンゴレって呼んでください!!」
「浅利……ああ、そういうこと? 飛●●人よりワードセンス無いわね」
「……」

 俺の目尻に涙が浮かんだ。

「言うわよ?」
「はいどーぞ」
「君の異能力は……【S-500-358-JP-超頑丈-Lv2】ね」
「……ほぉ? どう言った能力で?」
「怪我をしない能力」
「ん?」
「怪我をしない能力」
「へー……ん? 怪我をしない?」
「そうね。はっきり言って、それだけの力。怪我をしないからなに? 首を絞められれば死ぬし、衝撃を与えられれば脳が震えて死ぬことだってある……しかも、攻撃力は無しと来た。雑魚よ、貴方。残念だったわね」
「あ゙り゙がどゔござい゙ま゙じだ」
「……それでも、異能力者専用学園には容れられるから」
「ばい゙」
「飴ちゃん舐めな」
「……」

 この萎れかけたおばあさんに頭を下げて、俺は部屋を出た。
 怪我をしないかぁ……何が出来るかなあ。あ、スタントマンは出来そう……。稼げるなあ。

―――――――――――――――

【※S-[クラスが割り振られる]-[発現した順番で割り振られる]-[国]-[異能力名]-[レベル]】
※skill(スキル)
(例)【S-500-358-JP-超頑丈-Lv2】

////

〔異常能力部類表〕[ST=スキルタイプ]


ST-攻撃型<Attack type>
攻撃特化型の異能力を持った者。Lv2の異能力者に傷を付けられる異能力を持った者。


ST-防御型<Defense type>
防御特化の異能力を持った者。Lv2の異能力者の攻撃を防ぐ程度の異能力を持った者。

――――――――

ST-生産型<Production type>
物品を精製・製造することの出来る異能力を持った者。


ST-影響型<Influence type>
人や動物・物質に何らかの影響を与えることの出来る異能力を持った者。


ST-特殊型<Special type>
攻撃型、防御型、生産型、影響型、の四つのどれにも当てはまらない異能力を持った者。

――――〔異常能力評価指標〕――――

Lv1<初級>
発現したばかりの異能力に付けられる数値。


Lv2<二級>
発現し四年以上が経ち、使いなれてきた異能力に付けられる数値。


Lv3<三級>
発現し四年以上が経ち、使いなれ進化した異能力に付けられる数値。


Lv4<四級>
発現し四年以上が経ち、二回の進化を経験した異能力に付けられる数値。

――――――――

Lv0<零級>
進化することの無い異能力に付けられる数値。

「SF」の人気作品

コメント

コメントを書く