夢中

川嶋マサヤ

2.再確認

 「みおちゃんはもう一度貴人に会いたい?」

  急に俺が話しかけてしまったので少々驚かせてしまった。 

  「いや君の話を聞く限り、貴人はみおちゃんのことがほんとに好きだったんだ、親友だった俺になら1発でわかる。だからこんな形でお別れをして欲しくない。」

  俺が、死人と会える方法や霊媒師に頼る方法があるかどうか、調べていたことを伝えた。

  話し終えたところでみおちゃんから俺の不安を一気にかき消されることを言われた。

 「実は私も会える方法を探してました。」

  なんだ。気持ちは一緒だったのか。。
  俺がみおちゃんの立場だったとしても会える方法を探していただろう。しかし、みおちゃんの口からその言葉を聞けたことが、何よりも安心できた。

  安心した反面、みおちゃんと貴人を本当に会わせてあげられるのだろうか。という新しい不安ができた。

  こっちの不安の方が何倍も大きかった。現実的に考えて会わせられるはずがない。

 その日は、眠りについている貴人の横でどうやったら貴人に会えるか話し合った。

  みおちゃんの調べによると、やはり霊媒師やイタコが最有力らしい。
  先程も言った通り、俺は霊媒師やイタコに頼りたくなかった。
  学生で払える金額には限界がある。親に相談してもお金を出してくれるわけがない。

  たとえ、学生に優しい金額で霊媒師に頼めたとしても、安いと逆に不安になってしまう。

  例えば、ルイヴィトンの財布が5000円で売られていたらこれは偽物なのではないかと疑ってしまう。それと同じで、死者に会うためにはそれなりの金額が必要なのではないかと俺は考えている。

 でも俺達は霊媒師やイタコ以外に会える方法が思いつかなかった。

 とりあえず、ネットだけではなく新聞や、友人に聞いて回ったりしようという結論に至った。
 
 この時、俺はみおちゃんが高校一年生だということを忘れていた。彼女があまりにも強く、大人な女性だったからだ。
 普通、この間まで中学生だった子が急に彼氏を失ってしまったら何も考えられず、打ちひしがれてもおかしくない。

 それにも関わらず、みおちゃんは強く前を見て、何をすればいいかを考えている。その願いが叶うかもわからないのに1%もない可能性を信じて今生きている。

 何とかならないだろうか。

 明日は貴人が死体のまま部屋に居れる最後の日だったが、俺は大学の図書館に行くことにした。

 根拠は無いが、なぜかまた会えると確信していたのでそのために一刻も早く行動しようと思った。

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