夢中
2.みおちゃん
貴人のことはある程度知っているつもりだった。高校の時は毎日一緒にいたし、大学に入ってからもお互いが連絡したい時に連絡を取っていた。
  けれど、みおちゃんの話を聞いていくうちに俺の知らない、貴人がいた。
 
「私から、写真撮ろ?とか恥ずかしくて言えなかったんですけど、貴人から言ってくれたりして嬉しかったんです。」
 
この言葉を聞いた時衝撃だった。
高校の時、貴人は彼女を作ったが自分からツーショットを撮ろうとしたり、自分からデートに誘うことがまず無かった。
貴人自らアクションを起こすことがなかったので、みおちゃんに対して自分からアクションを起こしていたことに俺は驚いた。
 貴人はみおちゃんと本気で付き合っていたんだと高校の時から親友だった俺には一瞬でわかった。
  貴人が死んだ日、みおちゃんと貴人は会う約束をしていた。しかし大学が終わってみおちゃんに会いにいく途中で貴人が倒れてしまい、救急車で病院に運ばれ、そのまま息を引き取った。
みおちゃんは貴人との最後のLINEを見せてくれた。
「死にそう」
これがたかとが送ったみおちゃんへの最後のメッセージだった。
漫画か何かかと思った。
たかと本人もまさか本当に自分が死ぬとは思っていなくて、冗談で言ったのだろうか?
それとも本当に自分はもう死んでしまうかもしれないと思ったのだろうか?
後者だった場合、普通は感謝のメッセージを送ると思う。
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