Infinity インフィニティ

桜井ギル

1章1話 「既にピンチ」

「美紅?」

「遥香、陸、拓真?どこ?」


私はとりあえず手当たり次第に探してみた。

お座敷の隅、トイレ…色んな場所を探してみた。

中にはなぜか開かない部屋もあった。

特にお風呂が開かないことに不思議になった。お風呂へ行くための鍵は5年くらい前に壊れてしまったので鍵は常に開いていた。しかし全然びくともしなかった。

んー、どうしたものか?


「……!そこにいるのは奈緒?!」

「美紅!」

「助けて、閉じ込められちゃった!開かないの!」

「分かった!今助けるから扉から離れて」

「うん、分かった」


私は扉から大きく離れ、扉目がけて走る。

そして力強く扉に体当たりした。

すると扉は奇妙な音をたてて開いた。


「美紅!大丈夫?」

「うわぁーん、奈緒、怖かったよォ」

「一体何があったの?」

「よく分かんない。奈緒が戻ってきたと思って襖を開けたらなんか変な化け物がいて急いで逃げたんだけど扉閉めた途端開かなくなっちゃったんだよね」

「あー、その扉壊れてて無理やり閉めると開かなくなるんだ」

「そうだったんだ……」

「ねぇ、他のみんなは?」

「分かんない…拓真も私と同じ方向に逃げたんだけどはぐれちゃって」

「なんか奈緒ん家いつの間にかでかくなってない?改装とかした?」

「え?してないよ」

「……え」

「え?」


私達はとある結論に至った。もうこれしかないとしか言い様がない。


「Infinity……?」

「………」

「いーーーやーーーーーーーー!」

「帰る帰る!お家帰る!殺されちゃう!」


この子、学校で言ってたことと違うんだけど。


「なぎなた部のエースだから大丈夫って言ってなかったっけ」

「………」

「ごめんなさい、舐めてました。すいませんでした」

「……………」

「ねぇ、どうするの?」

「……本の通りに行動してみたらいけるかも!」

「ああ…でもあれってどう考えてもフィクションだよね」

「いやいや、ノンフィクションだよ!ちゃんと起きてる。」

「うそん」

「…その本は?」

「……家に置いてきちゃった」

「どうしよ」


詰んだ。やばいな。


「とにかくはぐれちゃったみんなと合流しようよ!私達じゃどうにもならないから」

「三人寄れば文殊の知恵って言うもんね」

「……んー」

「仮にさ、この現象がInfinityだったとしよう。」

「うん」

「行動すればするほど遭遇しやすいし、この中での秩序が乱れれば乱れるほど奴は怒る。…もう私達終わってるよね」

「………」

「どうしたらいいのーーー!」

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