栴檀少女礼賛

マウスウォッシュ

夕食と添削と新聞取材

 僕とアミとミカの3人は、またいつものイタリアンレストランへと足を運び、夕食を食べた。


「アミがケンジ先輩に啖呵切った後、先輩達大爆笑で済ませてくれてホント良かったよね。僕ホントにあの時生きた心地しなかったんだけど......」


「でもあの啖呵切るのもどうせアミの計算のうちでしょ?」


「そんな事ないよ〜。普通にあの時は出たとこ勝負だった。なんならケンジ先輩からブン殴られるぐらいの覚悟はキメてた。」


「ひゅ〜やっるぅ。てか、よく博打みたいなマネ出来たね。僕から見たら、普通に筋の通った理論を予め用意してて、誰かが反抗したらああやって言うように計画してたもんだと思ってた。」


「別に殴られても構わなかった。それでケンジ先輩が落ち着くなら。私は別に先輩達が何をどうしようと構わない。ただただ、人の道さえ外れなければそれで良い。」


 僕らは前みたいに添削を始めた。ただ前回と違ったのは、マルバツ作業にミカが加わっていること。そしてミカが特別補講の事を記事にする為に、先輩たちのテキストの一部を写真に収めてること。


「アミさぁ、なんだってこんな事引き受けたの? 別にお金が入ってくるワケでもあるまいし、先生方から言われたワケでもあるまいし、理解できないんだけど?」


「ミカ......別に誰も彼もがお金だけを目的に、そして合理的に動いてるワケじゃないのよ。
人間どこか非合理的な側面を誰しも持ってるし、お金以外にも仕事への燃料は人それぞれ幾らでもあるの。」


「それは俗に言う、やり甲斐ってやつ?」


「まぁ、それもあるかもね。」


「理解できないな。」


「別に理解ワカって貰う必要なんて無いよ。私は私、ミカはミカ、ハヤテはハヤテ、三者三様のやり方、価値観があるんだから。私は別に他人のやり方を否定しないし、余計な口出しもしない。ミカのやり方や価値観も、別に否定する気も無いし。だから私のやり方や価値観も、ミカに分かってもらおうなんて思っちゃいない。」


「なるほどね。アミがそのスタイルなら、私も気兼ねなく頼めそうだよ。」


「頼むって?」


「......実は、化学と古典を赤点取ってしまって、再テスト受けなきゃならないんだよ。そこでアミが特別補講してるって知って、出来たら私にもテキスト作ってくれないかな〜って......」


「なるほど。全然いいよ。」


「えっ!? ホントに!?」


「うん。」


「ありがとおおお......助かる......」

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