栴檀少女礼賛

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駅から家までの出会い

 僕は、アミが降りる駅より一個手前の駅で降りた。ここが自宅の最寄り駅だ。


「じゃ、また明日。」


「うん、また明日ね。」


 僕は階段をひょいひょいと上っていき、今まで何度繰り返したか分からないいつも通りの動きで、改札に交通系ICカードをセタッチし、駅の外へと出た。


 僕が家の方の出口から出て、家まで歩いていく途中、いきなり後ろからポンポンと肩を叩かれた。


「こんばんは確かハヤテくん......だったよね?」


「あ、貴方は野球部の先輩の......」


「うん。3年の秋葉 大鷹アキバ タイヨウです。ハヤテくんも最寄り駅ココだったんだ。」


「そうなんですよ。」


 僕らは帰る方向が一緒という事で、2人で同じ方向へと話しながら歩き始めた。


「先輩も最寄りココなんですね......でも先輩のこと、小学校とか中学校で見かけた覚えが無いんですけど?」


「あぁ、そりゃそうさ。俺は中学から高校に上がるタイミングで、この辺に引っ越してきたからね。元住んでた場所は、学校の最寄りを中心にして、ココとは丸っきり反対側に住んでたのさ。」


「なるほど......てことは十中とかの辺りって事ですか?」


「そうそう。俺は中学の頃十中に通ってたんだよ。だから、この辺の人とはあまり顔馴染みが居なくてね。」


「そう言えば先輩、今日受けてもらった特別補講はいかがでしたか?」


「いやぁ......初めてだからっていう言い訳はあんまり使いたくないんだけど、まるでダメダメだったね。全然解けなかったや。」


 先輩は苦笑しながらそう言った。しかし、ダメダメだったという割には、心做しか何かを得たような笑みが含まれてるように感じた。


「あれもアミの計算のうちらしいですよ。アミは『2回目以降からジワジワ来るはずだ』って言ってました。」



「そうだろうね。あの『何が分からないか書いてみる』っていうことをしたのは、今までに無かったかもしれない。

よくよく考えてみると、俺は『分かったつもり』とか『何が分かんないか分からないからどうしようもない』みたいにして勉強を漫然としてきたかもしれない。

でも今回、自分が如何にそうやって誤魔化しを続けてきたか実感出来たよ。あれはイイ補講だ......アミちゃん先生になればいいのに。」



「僕もそう思います。アミは頭が良いだけじゃなくて、教えるのも上手いと思います。まぁ、本格的に教えるのはこれからでしょうけど。」

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