栴檀少女礼賛

マウスウォッシュ

帰宅途中の電車の中で

 僕らは帰りの電車に乗り、二人で談笑していた。そこで僕は、さっき引っかかったことに関して質問することにした。


「さっきなんでミカに対して、あんな牽制するようなセリフを残したの?」


「勘......と言えばそれまでなんだけど、敢えて理屈っぽく言えば、彼女は恐らく私たちに打算的に近づいてきたんだろう、と言うのは既に分かってたから。」


「どういうこと?」



「メディア関係の人間の特徴って知ってる? メディア関係の人間って『面白そうなネタさえ書ければ、どんな強硬手段も許される。』って考えてる人間が多いの。

まぁ、たかが学校新聞のネタ集めだから、あまり本気にはしなかったんだけど、もし万が一、ミカが社会的なメディア人間の例に漏れず、大義のために暴走するような人間だと困るなって思って、ブレーキかけといたの。」



「なるほどね。」



「既得権益を持つものは、集団内における弱者の心情を理解しようとしない傾向があるって、昔本で読んだことがあって、最近のメディアの『被害者の気持ちを一切汲まないような不躾な取材』やら『自分達が面白そうだと思ったネタの為ならなんでもする風潮』を見てると、やっぱりそうなんだなぁって実感してね。

たかが学校新聞、そんな大層な既得権益なんて無いんだろうけどね。でも、ミカには社会的なメディア人間と同じになって欲しくないの。彼女には......弱い人の気持ちに寄り添える人間になって欲しいの......」



 その瞬間、彼女の表情に翳りが見えた。いつもは見せない表情だ。僕はその表情に興味を持つと同時に、これ以上深掘りしない方が良さそうだと判断し、話題転換を試みることにした。


「そう言えば、今夜もまた、新しいテキストファイルが出来次第、僕にメールで送ってくれるんだよね?」


「そう。ごめんね、紙の値段も印刷代もタダじゃないのに......」


「いやいや。いいのいいの。」


 僕の父親は印刷会社に勤務しており、自宅にはそこら辺の家庭には置いてないような、無駄にハイスペックなプリンターが置いてある。


 僕は父親と違い機械音痴で、今回のテキストをプリントアウトするのも、全部父親に任せてしまった。


 僕は申し訳ないなと思ったのだが、父親は僕に頼られて少し嬉しかったのか、平生以上にノリノリな様子であった。


 今日も今日で、テキストファイルが出来次第、アミに僕のケータイに送ってもらい、それを家で印刷して明日持っていく。


「僕は裏方担当って決まったし、印刷代はアミが頭脳使ってる分の対価だとでも思ってよ。」

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