東方山神録

ノベルバユーザー400070

案山子様の御成

この時期は樹々が秋一色に染まる
青と橙が混ざった夕焼けはとても美しく幻想郷を彩る。


この季節になるとやはり秋姉妹たちは本調子というところか。穣子は今年の作物の出来が良く安心していたのもあり、うつむきながら少し笑みを漏らして姉の静葉に話しかけた。
「今日は風が強いわね。」

「ええ、そうね。どうかした?ひょっとして何か企んでるとか。」

「流石私の姉ちゃん。全部わかってるって感じ?」
別に何を企んでいるわけでもないが
言ってみる。

「別に、聞いてみただけよ。」

「ふーん、じゃあいいや。教えてあーげない。」
暇なので静葉の心を揺さぶる。

「え、ちょっと、そんだけ言っといて何か言わないの?」

別にどちらも喧嘩っぽいわけではない、会話相手がどちらも姉妹なだけだ、このくらいはいつものことなのだ。
「だって別にって言ったじゃん。」

「何よ、早く教えて、気になるじゃない…」

「♪」
穣子はご満悦だ。

二人が論争を続けていると落ち葉を巻いて大きな風が吹き始めた。

秋姉妹の服や髪が強くなびき、耳にかかる風はうるさいのを増し、もはや姉妹論争をしている場合でなくなってきた。 

「風が本格的ににつよくなってきたわ。天狗でもいるのかしら。」
穣子は少し前に烏天狗の文に肩慣らし程度に扱われて正直好かないのだ。

「こんなことやってる場合じゃないねもう夕方だし帰っちゃおう姉さん。」

「私はまだ全部の木の葉に色付けしきれていないけどこんなんじゃ仕事にならないわ。」

「もう帰ったほうがいいわ。」

「そうね、そうしましょう姉さん。」
 
つよくなる風とともに論争も止んで、彼女らは帰り道の東を向くと、今まで姉妹喧嘩のせいで気づかなかった風の原因がわかった。

案山子が宙に浮かんでいた。風の渦を巻いて…

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