ショートショート
狩人
─目を開けると視界がぼんやりとしている。
そのまま意識の覚醒を促していると、しばらくして景色がはっきりとしてきた。
……路地?
なんだって俺は夜に路地なんかにいるんだ。
なんで俺はここで寝てたんだ。
そんな疑問を解決するために記憶を辿ろうとする。
しかし、記憶を辿ろうとした瞬間、頭に鋭い痛みが走る。
「が……ッ!?」
金槌で脳天を叩かれたような痛み─実際に叩かれたことはないが─に悶える。
俺は痛みに耐えかねてゴロゴロと地面を転がる。
当然、そんなことをしても痛みが紛れることはない。
「あっ!起きましたぁ?……起きましたよね!!」
不意に、明るい声が響く。
頭痛を刺激してくる嫌な声だ。
俺は、声のした方を見るが、街灯もない薄暗い路地ではシルエットでしか声の主を確認できない。
「いやぁ、危なかったですねぇ。もう少し遅れてたら、また気ィ失ってましたよね、絶対!」
男の声だった。
……気付いて助けに来てくれたのだろうか。
ゆっくりと近づいてくる男が月明かりに照らされて、少しだが見えてきた。
外套を着ているのがわかった。
「ぅ、うぁ、た……すけ……ッ!?」
酷い頭痛を我慢して助けを懇願する。
「はーい。今、助けますからねぇ……この世界から(・・・・・・)」
男が最後に何か言ったが、それを考えるほど頭が回らない。
男は足早に距離を詰め、倒れる俺の身体の横にしゃがみ込む。
「はい、一本!」
そう言い、男は俺の胸を手でポンッと叩く。
「!?!!!!」
次の瞬間、全身に痺れと痛みが駆け巡り、俺は声にならない叫びをあげた。
どうにか自分の身体に視線を下ろすと、胸に短剣がが突き立てられていた。
痛い、痛い痛いいたいいたいいたいいたい……。
何かが逆流し、口から溢れ出る。
「っ、ぐ、おぇ……」
「あちゃー。一発で死んでいただきたいと思っていたんですが、すいませんっ!!痛いですよね?」
血をこれでもかと吐き出しているにも関わらず、悪びれもなさそうに謝り、明るさを保っている男。
「っ、イかれ……る。っ、おぇ…………な……もの……ッ!?」
「はい?……イ・か・れ・て・る?褒めてもゆっくり殺すなんてことはしませんよ!……何者だ?……そーですねぇー、人を狩る(・・・・)のが生き甲斐の一般人ですよ!」
理解しがたいことを早口でまくし立てるように喋る男にこれまでにない恐怖を覚えながら、俺はある種の眠気を感じていた。
さっきまでの痛みが嘘のように消えていたせいか、何も考えずに目を閉じることができた。
「あっ、おやすみなさいっ!!」
嬉々として言う男の言葉を最後に、俺は眠りについた。
……翌日、短剣が胸に四本刺さった無残な男の死体が発見された、というのは言うまでもないだろう。
そのまま意識の覚醒を促していると、しばらくして景色がはっきりとしてきた。
……路地?
なんだって俺は夜に路地なんかにいるんだ。
なんで俺はここで寝てたんだ。
そんな疑問を解決するために記憶を辿ろうとする。
しかし、記憶を辿ろうとした瞬間、頭に鋭い痛みが走る。
「が……ッ!?」
金槌で脳天を叩かれたような痛み─実際に叩かれたことはないが─に悶える。
俺は痛みに耐えかねてゴロゴロと地面を転がる。
当然、そんなことをしても痛みが紛れることはない。
「あっ!起きましたぁ?……起きましたよね!!」
不意に、明るい声が響く。
頭痛を刺激してくる嫌な声だ。
俺は、声のした方を見るが、街灯もない薄暗い路地ではシルエットでしか声の主を確認できない。
「いやぁ、危なかったですねぇ。もう少し遅れてたら、また気ィ失ってましたよね、絶対!」
男の声だった。
……気付いて助けに来てくれたのだろうか。
ゆっくりと近づいてくる男が月明かりに照らされて、少しだが見えてきた。
外套を着ているのがわかった。
「ぅ、うぁ、た……すけ……ッ!?」
酷い頭痛を我慢して助けを懇願する。
「はーい。今、助けますからねぇ……この世界から(・・・・・・)」
男が最後に何か言ったが、それを考えるほど頭が回らない。
男は足早に距離を詰め、倒れる俺の身体の横にしゃがみ込む。
「はい、一本!」
そう言い、男は俺の胸を手でポンッと叩く。
「!?!!!!」
次の瞬間、全身に痺れと痛みが駆け巡り、俺は声にならない叫びをあげた。
どうにか自分の身体に視線を下ろすと、胸に短剣がが突き立てられていた。
痛い、痛い痛いいたいいたいいたいいたい……。
何かが逆流し、口から溢れ出る。
「っ、ぐ、おぇ……」
「あちゃー。一発で死んでいただきたいと思っていたんですが、すいませんっ!!痛いですよね?」
血をこれでもかと吐き出しているにも関わらず、悪びれもなさそうに謝り、明るさを保っている男。
「っ、イかれ……る。っ、おぇ…………な……もの……ッ!?」
「はい?……イ・か・れ・て・る?褒めてもゆっくり殺すなんてことはしませんよ!……何者だ?……そーですねぇー、人を狩る(・・・・)のが生き甲斐の一般人ですよ!」
理解しがたいことを早口でまくし立てるように喋る男にこれまでにない恐怖を覚えながら、俺はある種の眠気を感じていた。
さっきまでの痛みが嘘のように消えていたせいか、何も考えずに目を閉じることができた。
「あっ、おやすみなさいっ!!」
嬉々として言う男の言葉を最後に、俺は眠りについた。
……翌日、短剣が胸に四本刺さった無残な男の死体が発見された、というのは言うまでもないだろう。
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