禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

ノベルバユーザー399768

第89話・岩田プロデューサー。

(んんっ〜?ここは何処だべぇ?)

 目が覚めるとエッサは知らない部屋にいました。カタカタ、カチカチと変な音が絶え間なく聞こえて来ます。

「やあ、A3エッサ久し振りだね。まあまあ、頑張って生き残ったようだけど、目的を忘れて出世に走ってしまったのが間違いの元だね。」

「なぁ!お前の顔は見覚えあるべぇ。何でここに居るんだべぇ。ここは何処なんだべぇ?」

 エッサは身体を動かそうとしますが、まるで手足がついてないようで、動かしている感覚がありません。どんなに視線を変えようとしても、目の前の一点しか見る事が出来ません。

「おい、音声・増山ますやま!このだべぇを標準語に再設定してくれないか。」

「なに言ってるべぇか?再設定って何だべぇ!おい、ヒョロ眼鏡音声・増山。オラに何かしたら、その眼鏡叩き割るべぇよ。」

「ちょっと待ってくださいね。すぐに標準語に設定し直しますね。」

  ︎標準語
 ▷田舎弁
 ▷関西弁
 ▷外国弁

ポチクリック!』

 増山と呼ばれる男性が、パソコンの画面を見ながら、マウスのボタンを1回押しました。エッサの言語が田舎弁から標準語に変更されたようです。

「これで少しは聞き取りやすくなるといいんだがな。A3、ちょっと喋ってくれないか?」

「おい、小太り眼鏡。さっきからA3、A3って、俺はエッサだよ。それよりもここは何処なんだよ?俺はルナに殺されたはずなんだろう。」

(この小太り眼鏡の顔は、本に載っていたプロデューサーの岩田だよな。なんで俺の目の前に座っているんだよ?)

「あぁ、それはね。A3が死んだから、ここに戻って来たんだよ。そういう風に設定されているんだよ。それよりも僕の名前を知っているなら、岩田さんと呼んでくれてもいいんだよ!」

(なっ!いま俺の頭の中の考えを読んだのか?)

「そうだよ。A3の事は僕には全部筒抜けだよ。これでもこの会社の神様最高責任者だからね。」

 エッサの考えている事はパソコンの画面に全部表示されます。岩田プロデューサーはタダの小太り眼鏡の人間です。特殊な能力があるとしたら、画面に表示される小学生レベルの漢字が読めるぐらいです。

「つまりは俺は死んで、ここは天国なんだな。それで俺をどうするつもりなんだ?一生この状態のままでいないといけないのか?おい!さっさと答えないとその眼鏡外して、声優の大塚おおつかと見分けがつかないようにしてやるぞ!」

 確かにプロデューサーの岩田さんと声優の大塚さんは似ていますが、眼鏡を外した程度で見分けがつかなくなる程は似ていません。

「おいおい、エッサ。そんな酷いこと言うなよぉ〜。ぷっぷぷ。それにここは天国というよりも地獄に近いかな。さてと、質問に答えようかな!A3は今までの記録を消去されて、もう一度あの世界で暮らす事になる。まあ、通常はこうなるね。それが嫌なら消去するしか他にはないかな。どっちがいい?」

「はぁ?なに言ってるか分かんねぇよ!よくそんなんでプロデューサーなんかやってられるな。さっさと辞めちまえよ!」

はぁ〜はぁ〜はぁ〜プログラム如きが人間様を舐めやがって!てめぇ〜もう一度言ってみろよ!僕は仕事で疲れてるんだぞ!押しちゃうぞ!押しちゃうからな!」

  ︎A3を消去する
 ▷A3を消去しない

(……この小太り眼鏡ヤベェ奴だ!適当に謝って許してもらうか。)

 残念ながら、エッサの考えは全てプロデューサーには筒抜けです。適当に謝って許してもらう事は出来ません。早速キレています。

誠心誠意謝れ適当だと?巫山戯んじゃねえ!土下座して謝れ!早く謝れよ!消去するぞ!消去するぞ!消去するぞ!!」

 このプロデューサーは性格の方に問題があると思うので、さっさと降格した方がいいです。そんな事をエッサが思っていると、別の神様がやって来ました。

「まあまあまあ。エッサは死んで混乱しているだけよ。ここは私に任せて、岩田くんは少し仮眠を取りなさい。きっと疲れているのよ。」

「はっ!すみません。ちょっと疲れていたようです。それと見学はいいですが、あんまり機械には触らないようにしてくださいね。」

 危険なプロデューサーは仮眠室という自分のデスクに戻って行ったようです。

「なぁ、本には載っていなかったけど、あんた誰なんだ?」

「私はただのスポンサー資金提供者の1人よ。ねぇ、エッサ。本当は駄目だけど、特別に私がワンチャンス1回だけのチャンス上げましょうか?上手く行けばエミィL3ルナR7に復讐出来るわよ。」

(ワンチャンス?つまりはコンティニューか、ロードの事を言っているのか。)

「ひっひひひひ。オバさん、あんたの話の方が岩田よりも面白いそうだな。もっと聞かせてくれよ。」

 どうやら、スポンサーのオバさんはエッサの行動に興味があるようです。通常は禁止されているコンティニュー復活機能を使うようです。

「いい。復活しても、レベルはそのままで、奪われたアイテムとお金も戻してあげられないわ。体型だけは痩せていた頃に戻してあげるわ。あとは自分の力で頑張りなさい。」

「それだけあれば十分だべぇ。オラの田舎弁も返してくれてありがとうだべぇ。さあ、パパが強くなって会いに行くから待ってるでぇちゅよぉ〜。」

 エッサはエミィの計画を全てオバさんから聞かされたようです。最愛の愛娘との再会を楽しみに再出発です。

  ︎コンティニューする
 ▷コンティニューしない

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