禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

ノベルバユーザー399768

第65話・エミィのお願い。

『コンコン。』と夜遅くに、エッサの部屋の扉をノックする人物がいます。エッサはルナを助ける為に、夜遅くまで本を読んで、必要な情報を探していました。

 こんな時間に誰だべぇ?まさか、エミィがパジャマで夜這いに来たんじゃないべぇよなぁ?だとしたら、ロックタだべぇか?

『ガァチャ。』とエッサの返事も待たずに扉が開いて行きました。そこにはパジャマ姿のエミィが立っていました。

「エッサ、ちょっと話しがあるんだけど、えっ!こんな時に本なんか読んで、余裕じゃない。それとも、ルナを助けるのは諦めたのかしら?」

「そんな事ねぇべぇ。それよりも話ってなんだべぇ?今じゃないと駄目なんだべぇか?明日でいいなら、そろそろ寝ようと思ってた所なんだべぇ。エミィも早く寝るんだべぇよ。」

 今までの地下迷宮の探索で手に入れた、使わないランク1〜3の武具を全て売っても、せいぜい、4〜5万Gぐらいです。まだまだ10万Gほど足りません。王都の近くで、沢山お金を落とすモンスターを、本で探しましたが見つかりません。エッサは少し苛立っていました。

「話しはルナの事だったんだけど、話しても無駄なようねぇ。もう、助けるって決めているんでしょう?それよりも、何の本を読んでいたのよ?こんな夜遅くに読むなんて、イヤらしい本なんでしょう。」

 エッサはベッドの上で本を読んでいたので、変な本を読んで、変な事を想像していたと、エミィは疑っているようです。エミィが部屋に入って来た時に、慌てて毛布の下に隠したのも誤解された要因かもしれません。

「エミィには関係ないべぇ!そ、それに、これはエロ本じゃないべぇよ。国語辞典だべぇ!」

「じゃあ、見せてよ?どうしたの?やっぱり、見せられないの?ほらほら、早く見せなさいよ。」

 くぅ〜〜〜!我慢だべぇ。この本は誰かに見せたら駄目なんだべぇ。オラ達の住む世界が、小太りの岩田とその仲間達が作った、ゲームの世界だと知られたら、世界中が大混乱するんだべぇ。それに2年後と6年後に起こる、大きな戦争で大勢の人が死ぬ事も絶対に知られたらマズイんだべぇ。オラが変態の称号を獲得しようと、誰にも見せたら駄目なんだべぇ!

「あぁ、そうだべぇ。この本は国語辞典じゃないべぇ。エミィの言う通り、変な本だべぇ。オラはお楽しみの最中だべぇ。さっさと部屋から出て行って欲しいんだべぇ!」

「うわぁ〜〜、最低なんですけど!ルナは冷たい牢獄で寝ているのよ。あんたも入って見たから分かると思うけど、あの場所、最悪よ。」

 オラ1人の犠牲で世界が救われるなら、これでいいんだべぇ。明日から変態と呼ばれても、世界の為に我慢するんだべぇ。

「五月蝿いんだな!さっさと部屋から出て行くんだな。」

『ガァバァ!』

 エッサは毛布を頭から被って、寝る事にしました。エミィはまだ部屋に残っています。話しは終わったはずですが、まだ他にも用事があるのかもしれません。

「ねぇ、エッサぁ〜?私も一緒に寝てもいいかしら?ほら、地下迷宮では私、役に立たなかったじゃない。だから、家では伴侶として、ちょっとは役に立たないといけないかなぁ〜?ってねぇ。ねぇ、いいでしょう?」

 何て女だべぇ!仲間のピンチにオラと楽しい事しようなんて、最低だべぇ!

「そんな気分じゃないべぇ。さっさと部屋に戻って寝るんだべぇな。」

「ねぇ、一緒に隣で寝るだけならいいでしょう?ルナがいないから、部屋が広くて寂しいのよ。隣で寝るだけだから。ねぇ?」

 そういえば、エミィとルナは2人部屋だったべぇな。オラも村では父ちゃんと母ちゃんと狭い家の中で、一緒に寝ていたから、1人で眠る不安な気持ちは分かるんだな。

「オラに変な事したら、すぐに追い出すんだべぇよ。」

「分かってるわよ。そっちこそ、寝ている私に変な事しようとしたら、怒るんだからねぇ。」

 全く困った女だべぇ。オラにも選ぶ権利はあるんだな。村の雑草女に欲情なんかしないべぇよ。ふぅわぁ〜〜、オラは疲れているから、さっさと寝るんだな。

 ◆

『チュンチュン。チュンチュン。』と鳥達が鳴き始めました。あっという間に朝がやって来ました。

『ガサゴソ。ガサゴソ。ガァバァ。』

「んんっ〜〜、エミィがいないな?さては、俺よりも早く起きて、朝食の準備でもしているのかな?全く可愛い子猫ちゃんめ。」

 エッサがベッドから起きると、隣にも、部屋にも、エミィはいませんでした。朝ご飯を買いに市場に出掛けたのでしょう。エッサも王様に会う為に急いで準備をしないといけません。早速お風呂場に向かって行きました。










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