禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

ノベルバユーザー399768

第38話・王都生活1ヶ月目。

 難破船に通い出してから、6日目に目標の海鉱石30個が集まりました。最初の10個が集まった時に、王都の鍛冶屋で強化するように頼みましたが、オジさんに『無理だな。』と断られました。

「この剣をいつものように、この鉱石で鍛えればいいですから。お願いします!」

「だから、鍛えるには鉄鉱石か、銀鉱石なんだよ!そんな青い石ころで強化するなんて無理なんだよ。強化してなら、剣だけ渡せばいいんだよ。」

「この石じゃないと、駄目なんです!お願いします。この石で鍛えてください!」

「いいか!強化するのも難しいんだ。間違った素材を使うと武器が壊れてしまう。その変な石ころで強化したら壊れるだけだ。嘘だと思うなら、その剣と石を貸してみろ!すぐに剣にひびが走って壊れるからな。よく見て後悔するんだな。」

 どうやら、まだまだ海鉱石を使用した強化方法は知られていないようです。おそらくは未知の技術なので鍛冶屋のオジさんが知らないのは仕方ありません。

『ガァン!ガァン!ガァン!』といつものように力強くハンマーを武器に向かって打ち付けています。

「んっ?イケそうかもしれねぇ。1時間ぐらいしたら、もう一度来るんだな。その時には結果が分かるだろうよ。」

 ブラブラと王都を散策します。酒場の部屋で本を読むよりは、普段しない事をのんびりと時間をかけてやってみたくなります。

「はぁ〜、レベッカさんと王都の中を手を繋いで、歩いてみたいべぇ。妥協案でミミさんか、ハンナさんでもいいから、デートというものをしてみてぇ。」

 酒場の女の子3人と話すのは、夜ご飯の注文の時ぐらいです。最初の困っていた時は色々と相談に乗ってくれましたが、今のエッサは収入が安定しているので、わざわざ忙しい仕事中にくだらない事で呼び止めて話せません。迷惑にならないように遠巻きに眺める日々が続いています。

 そろそろ王都で暮らし始めて、1ヶ月です。ここでの生活も随分と慣れて来ました。もう、ほとんど戦争が起きるまでの待機状態のようなものです。

「手に入りそうな最強の武器を手に入れたし、ほとんど、あとはレベルアップするだけだな。」

 本には世界を救う冒険の進め方が始まりから終わりまで載っているけど、オラの冒険は載ってないんだよな。だからこそ、この本を参考にオラだけの冒険の進め方を作る必要があるんだな。

「だとしたら、戦争が起こるのを待つよりも、こちらから敵の本拠地に乗り込んだ方が手っ取り早くて簡単かもしれねぇ。」

 冒険の最終章で訪れる事になる大陸中央にある孤島が怪しいんだけど、出現するモンスターのレベルが55前後とオラの力じゃ太刀打ち出来ねぇ。最低でもレベル40は必要なはずだべぇ。

「そろそろ強化も終わる頃だべぇ。強い武器も重要だども、オラに必要なのはもっと早くレベルアップする方法なんだな。やはり経験値を2倍にするあのお守りが必要かもしれねぇ。」

 無事にルドルフの剣の強化が終わると、鍛冶屋のオジさんの質問に適当に答えて、船着き場に急ぎます。まだまだ残りの海鉱石20個を集め終わっていません。

 開始3日目にレベルは22から23にアップしましたが、それ以降は何の変化も起きません。やはり、自分のレベルよりも高いモンスターを倒さないと、レベルは上がりにくいようです。エッサはそろそろ王都を離れる必要がありました。



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