禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

ノベルバユーザー399768

第33話・鉄鉱石と銀鉱石を集めよう。

 普通に考えたら海洋洞窟で鉄鉱石を集めてから、武器を2段階強化して、精霊の水飲み場でモンスターを倒して銀鉱石を集めるのが妥当です。

「たとえ運良く、海洋洞窟で簡単に鉄鉱石が手に入っても、銀鉱石は採掘出来ねぇ。それに鍛冶屋のオジさんが次は銀鉱石は30個必要だと言うのなら、その次は銀鉱石が60個必要だと言うはずだべぇ。そう考えると、どう考えても鉄鉱石が余りまくるはずだべぇ。先を見て行動するのが賢い選択だべ。うんだぁ。そうに違いねぇ。」

 そうに違えねぇのに、このモンスター、逃げ足が速すぎだの!

 精霊の水飲み場に出現するカメ系モンスターの『トータス』は、レベル16でHP1600と倒しやすいモンスターですが、敏捷が160と高いです。エッサの敏捷が151なので、奇襲攻撃で逃げる隙も、反撃する隙も与えないようにしないと、手強い敵になってしまいます。

「斬空波!斬空波!」

『ザァン!ザァン!サァーーー。』と逃げるトータスの尻尾に、2発の飛ぶ衝撃波が命中しました。合わせてダメージ220前後です。トータスは灰になって消えました。

「はぁはぁ。これで5匹目だの。今のところは鉄鉱石1個だけだど、倒せそうになると逃げようとするのが、問題だべなぁ。まあ、道は覚えているから、行き止まりで右往左往している瀕死の奴を倒せばいいちゃな。」

 でも、最近はトリトンさんも別の狩場に移動したみたいで姿を見てねぇ。もしかすると、船で別大陸に移動して強くなってるんじゃねぇのか?オラもこうしちゃいられねぇ。トリトンさんのいねぇ今がチャンスなんだべぇ。

「もう逃げられねぇど。覚悟するだど。」

 どうせ、こいつらは何匹倒しても生き返るから問題ねぇ。ついでにトリトンさんも好き放題にあっちこっちを旅しているみてぇだから、オラがレベッカさんと仲良くなっても構わねぇ。手紙一つで、いつまでも女心を捕まえているのは出来ねぇ。

「意外と移動に時間がかかるから、実際にここで戦える時間は5時間ちょっとだな。」

 大森林よりも3時間も短いけど、ほとんど一本道だからモンスターを見逃す心配はねぇ。でも色々なモンスターが出るから、トータスの出現率は25%ぐらいになるなぁ。

「1日に倒せるトータスの数は20匹ぐらいだな。とりあえずはこの場所では時間厳守で行動しないとな。帰りが遅くなると、マスターさんに怒られるべぇ。」

 はぁ〜、今度はオラはこの場所で畑を耕すのか。でも、トータスが結構鉱石を落としてくれるから、もしかすると、オラが持っている『幸運のお守り』の効果が発揮されているんじゃねぇのか?だとしたら、10日もあれば武器を強化出来るかもしれねぇ。こういうのは地道にコツコツ頑張るしかねぇ。最大で1カ月もあれば、銀鉱石も30個ぐらいは集まるだべぇ。

 来る日も来る日、エッサは王都と精霊の水飲み場の片道1時間半かかる道を往復します。開始から5日目に鉄鉱石10個が集まりました。

「やっと未強化のジェネラルソードを強化出来るぞぉ!」

 エッサは集まった鉄鉱石10個をすぐに強化に使います。ジェネラルソードの攻撃力が67から81に上昇しました。

 エッサは強くなった武器を片手に、その勢いのまま、鉄鉱石と銀鉱石を少しずつ集めて行きました。そして、開始から16日目にやっと、20個の鉄鉱石と30個以上の銀鉱石が集まりました。

「ふぅ〜、意外と最後の1個が出ないから、長くなってしまったな。でも、粘ったお陰で無事に第三段階まで強化出来るべぇ。」

 トータスは銀鉱石を結構落とすのに、鉄鉱石をなかなか落としてくれません。あと1個を集めるのに帰る予定時間をオーバーしてしまいました。朝ご飯はきちんと食べて来たので、マスターとの約束はギリギリ守れています。

「早く帰らないと、店の閉店後に帰ると怒られるべぇ!」

 ダッダッダッとエッサは走って王都に帰ります。もう陽が落ちて、空が全体的に薄暗くなって来ました。急いで灯り用に購入したランプを頭の中で強くイメージすると、目の前に出現しました。

 エッサも冒険者として色々なアイテムを購入出来る、お金の余裕が出て来ました。あとは簡易テントでも、購入すれば、野宿も快適に過ごせるはずです。15万Gと高いですが、コツコツと頑張れば実現可能なはずです。

「ひぃひぃ!はぁはぁ!王都まで、残り30分ぐらいだべぇ。ラストオーダーまで、残り40分。頑張るべぇ!」



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