禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

ノベルバユーザー399768

第32話・地道な努力。

『名前・エッサ。職業・村人剣士。レベル9。HP340。MP164。攻撃力46。魔力56。敏捷153。』

「三連突き!昇竜斬!」

『ドォス、ドォス、ドォス、ザァシューン!サァーーー。』

 エッサの高速の突きがトロールの身体に突き刺さります。怯んだトロールに続けざまに、下から上に強烈な一撃が振り上げられました。エッサは慣れた手つきで、トロールにトドメの300ダメージを与えると、モンスターは灰になって消えました。

「依頼達成だべぇ。トロールはアイテムを落とさねぇから、楽しみがねぇなぁ。」

 あれから二週間が経ち、エッサは無事にジェネラルソードを手に入れて、宿屋代をレベッカさんに返す事が出来ました。でも、お金はほとんど残っていません。今は食事代と来月の宿屋代を用意するのに追われています。

「もう大森林のモンスターで倒せない、モンスターはいねぇなぁ。ミミさんにお土産を買って帰りたいけど、他の冒険者さんもフリーのミミさんを狙ってるし、ハンナさんは彼氏がいるし。」

 この後は海洋洞窟に行って、鉄鉱石を集めて武器を強化するだけだべぇ。モンスターの攻撃力も一番高いので、210程度でトロールの200と大して変わらねぇし、HPも4800と高いだけで勝てねぇ相手じゃねぇなあ。

「海洋洞窟のモンスターを40匹倒した方が、大森林でスライムを80匹倒すよりも、得られる経験値の合計が1000も多いし、本格的に狩場を移動しねぇとな。」

 経験値もお金も海洋洞窟の方が多く稼げるけど、問題はこのモンスター『ポイズンカエル』だな。このモンスターが吐き出す体液を浴びると、毒状態になるという厄介な相手だな。

「対策として、毒除けのお守りがあるみていだけど、難破船の船長室まで行く必要があるなぁ。壊れた船の中という閉鎖空間から、実力がないと奥までは行けねぇけど、隠された宝箱が確実に残っているはずだべぇ。」

 本来なら、救世主様の為に用意されたアイテムだども、まだまだ、お使いになるのは、5年と9ヶ月も先だぁ。ちょっとだけオラが使っても問題ねぇな。

 テクテクテクと王都を目指して歩きます。ちょっとずつ話し方も訛らないように練習しています。最初の戦争まで残りは1年と8ヶ月です。戦争は南の国で起こるらしいですが、詳しい場所は本を何度も読んでも載っていませんでした。ですが、戦争を起こす国の場所と名前は覚えました。

「封じられし民『レムリア王国』かつて世界を征服しようとした、レムリア人が封印を解いて、オラ達を侵略するんだども。なんで再封印する為に必要なアイテムが救世主様達の身体の中に封印されてるだ?冒険の旅をしながら、封印を解かないといけないとか、オラにはプロデューサー様の考えが理解出来ねぇ。」

 それに最近思ったんだども、明らかにレベルアップするのに、必要な経験値が多過ぎる!救世主様の冒険はたったの8ヶ月だど、どんなにオラが頑張ってもレベル30がいい所なのに、中ボスとか、クエスト報酬で大量に経験値を1万も10万も与え過ぎだぁ!なんで簡単にレベル60ぐらいになれるんやぁ。この世界は不公平に満ちている。どげんかせんといかん。

「まずは武器の強化をしたいから、やっぱり海洋洞窟に行くのが一番だな。でも、採掘するには、採掘場所に一番乗りする必要があるんだな。だとしたら、オラにはどう考えて無理だぁ。絶対に取れねぇ。」

 ふっふふ。でも、オラにはこの本がある!大森林を戻って、オラが住んでいた村を北に向かって進んだ所にある大森林の、更に北にある『精霊の水飲み場』に鉄鉱石と銀鉱石を落とすモンスターを見つけてしまっただぁ!

「落とす確率はどちらも10%だども、今のオラなら、HP1600のモンスターなら、1日に100匹は倒せる自信がある。確実に1日10個の鉱石は集められるはずさぁ。」

 これで、トリトン様を追い抜いて、オラが王都最強の冒険者になれるかもしれねぇ。略奪愛は嫌じゃけど、レベッカさんなら、若くて強い男の方について来てくれるはずだぁ。略奪するぞぉ!





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