禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

ノベルバユーザー399768

第29話・サブキャラクター。

『ガァン!ガァン!ガァン!』と力強いハンマーの音が鳴り響きます。早朝に起きると、朝ご飯にサンドイッチを食べてから、鍛冶屋さんに急いで向かいました。

「ファントムソードか、強化するなら鉄鉱石10個と2000G必要になる。金はあるようだが、鉄鉱石はねぇなぁ。海洋洞窟に行けば、採掘出来るはずだから、強化してぇなら取ってくるんだな。」

 強化して欲しい武器を手渡すとちょっとだけ見ると、エッサに返しました。必要な事だけ話すと、ガァン、ガァン、ガァンと話は終わりだと、鍛冶屋のオジさんは作業に戻ってしまいました。

「エッ〜と、海洋洞窟に行くには船に乗らないといけないようだけど。まずは王都を出て、北にある船着き場に向かう必要があるんだなぁ。」

 この船着き場から『海洋洞窟』と『難波船』に行けるようだけど、他にも大陸のあちこちの船着き場に行けるようだの。二年後には、この船着き場から沢山の兵士が戦う戦場に、セイレーン様を助けに行く事になるんだなぁ。そう考えると、なんだか複雑な気持ちになるなぁ〜。

「オラのようなミジンコに、そんな事出来るとは正直思えねぇ〜。もう大人しく、レベッカさんと一緒にこの王都で慎ましく暮らすのが、分不相応なんじゃねぇのか?」

 そもそも、オラは生活するだけのお金が稼げればいいんだし、今さらムキになって、この世界を作ったプロデューサー様に逆らう必要なんてねぇけろ。

「怒りや争いからは何も生まれねぇ。オラはちょっと強くなるだけで良かったんだぁ。」

 テクテクテク、テクテクテクと船着き場まで、エッサは晴れやかな気持ちで到着しました。

「おっ!もうこんな所に来たのかよ!まだお前には早いと思うんだがなぁ〜。」

「あっ!どうも、おはようございます。冒険者様も海洋洞窟に行くんですか?」

 宿屋で何回か会った事がある、親切な冒険者さんが海洋洞窟行きの船を待っていました。

「あぁ、武器の強化には鉱石が山程必要だからな。取り尽くしても、1日経てば、また取れるようになるから、こうやって何度も通ってんだよ。お前は今日が初めてだろうから、俺から離れずについて来た方がいいぞ。」

「あいやぁ〜、ありがとうございます!オラ、エッサです。よろしくお願いします。」

「おぅ!俺はトリトンだ。今は冒険者だが、一応は王都で兵士をやっている。こうやって非番の日はモンスターを倒したりして、地味に鍛えて続けているって訳だ。いざという時には、戦えなかったら兵士失格だからな。」

 トリトンさん!確かサブキャラクターで救世主様達の旅をサポートする重要キャラクターではねぇですか!オラのサポートをさせるなんて恐れ多くて出来ねぇ。早くお断りしねぇとなぁ

「大丈夫でさぁ。オラ、隠れながら採掘するだけなので、トリトン様は未来の為に頑張ってくだせぇ。その方が世界の為になりますだぁ。お願いしますだぁ!」

「おぅ?そこまで言うなら仕方ねぇけど、一応は心配だから、様子ぐらいは見させてくれよな。じゃぁ、そろそろ船が出発するから乗り込まないとな。」

『ポォーポォー。』と汽笛を鳴らして、船は海洋洞窟に向かいます。乗っているのは、冒険者が7人ぐらいしかいません。自由にフィールドやダンジョンを動けるのは選ばれたキャラクターだけのようです。







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