禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?
第10話・エッサの村。
『ガァサァ。ガァサァ。ズゥボォ。』
茂みを掻き分けて、地図に載ってない道無き道を進みます。やっと目の前の視界が開けて来ました。
「ここはどの辺じゃろう?村の近くだといいんじゃがぁ?」
グラフィックデザイナーの作った綺麗な道なんか馬鹿正直に通ってられません。村の位置を確認したら、整備された森の道の中で、一番村に近い場所まで移動します。あとは茂みを掻き分けて、真っ直ぐショートカットです。
じぃーーと、辺りを見回して知っているものがないか探します。陽が落ちて、ちょっと薄暗くなっていますが、少し遠くに知っている家が見えました。
「あれはトトペットの家じゃな。だとしたら、村の北側に近いのか。こんな時間まで外を彷徨いているのは、猪か野犬ぐらいじゃろう。」
父ちゃんは見た事あると言ってたけど、多分、シナリオ担当の奴らが、父ちゃんの頭の中を片手間に弄って入れた偽情報だなぁ。今回はこの偽情報を利用して、幻の猪を追っ払っていたら、いつの間にかこんな時間になったと話しておこう。きっと信じるはずさぁ。
テクテク、テクテクと綺麗な村の中を進みます。人口73人のこの村人全員が作り物の人間とは信じられません。
村の夏祭りで、村一番の美少女のエミィと踊った時の胸のドキドキも、エミィの声も、匂いも、体温さえも作り物なんて信じたくありません。
「あちゃ〜、剣と兜は何処かに隠さないとな。流石に見つかったらマズイのぉ〜。」
エッサの家はもう目と鼻の先です。本とお守りぐらいは服の下に隠せますが、他は無理です。その辺に無造作に置いていると、畦道で本を拾った自分のように、拾った村人が決められた行動以外の、おかしな行動を取るかもしれません。
「とりあえずは薪置き場に隠しておいて、父ちゃんと母ちゃんが寝てから、箪笥の中にでも隠しておけばいいじゃろう。」
エッサは家の裏側にある、使った分だけ翌日には増えている、不思議な薪置き場に剣と兜を隠す事に決めました。
ソロリ、ソロリと気配を消して、足音も立てずに歩きます。家の中から父ちゃんと母ちゃんの楽しそうな笑い声が聞こえて来ました。
「父ちゃん、そんな嘘にオラが騙されると思ってるのかぁ〜?猪なんか一度も見た事がねぇぞぉ〜!」
「いやいやいや、父ちゃの子供の頃に村に大きな猪が現れて、村人総出で追い払ったちゃ。嘘だと思うなら、オメェの好きなエミィの父ちゃのゴンゾウにでも聞いちゃよか。ゴンゾウの左腕の傷はその時の傷たい。」
「な、何を言ってんのじゃ!オラはエミィの事なんか、これぽっちも好きじゃなか!デタラメ言わんといてぇやぁ!」
何で家の中からオラの声が聞こえるんじゃ?そぉ〜と、窓の隙間から家の中を覗いてみました。
『ガァチャン〜!』
エッサは信じられない者を見てしまい、思わず剣と兜を落としてしまいました。
          
茂みを掻き分けて、地図に載ってない道無き道を進みます。やっと目の前の視界が開けて来ました。
「ここはどの辺じゃろう?村の近くだといいんじゃがぁ?」
グラフィックデザイナーの作った綺麗な道なんか馬鹿正直に通ってられません。村の位置を確認したら、整備された森の道の中で、一番村に近い場所まで移動します。あとは茂みを掻き分けて、真っ直ぐショートカットです。
じぃーーと、辺りを見回して知っているものがないか探します。陽が落ちて、ちょっと薄暗くなっていますが、少し遠くに知っている家が見えました。
「あれはトトペットの家じゃな。だとしたら、村の北側に近いのか。こんな時間まで外を彷徨いているのは、猪か野犬ぐらいじゃろう。」
父ちゃんは見た事あると言ってたけど、多分、シナリオ担当の奴らが、父ちゃんの頭の中を片手間に弄って入れた偽情報だなぁ。今回はこの偽情報を利用して、幻の猪を追っ払っていたら、いつの間にかこんな時間になったと話しておこう。きっと信じるはずさぁ。
テクテク、テクテクと綺麗な村の中を進みます。人口73人のこの村人全員が作り物の人間とは信じられません。
村の夏祭りで、村一番の美少女のエミィと踊った時の胸のドキドキも、エミィの声も、匂いも、体温さえも作り物なんて信じたくありません。
「あちゃ〜、剣と兜は何処かに隠さないとな。流石に見つかったらマズイのぉ〜。」
エッサの家はもう目と鼻の先です。本とお守りぐらいは服の下に隠せますが、他は無理です。その辺に無造作に置いていると、畦道で本を拾った自分のように、拾った村人が決められた行動以外の、おかしな行動を取るかもしれません。
「とりあえずは薪置き場に隠しておいて、父ちゃんと母ちゃんが寝てから、箪笥の中にでも隠しておけばいいじゃろう。」
エッサは家の裏側にある、使った分だけ翌日には増えている、不思議な薪置き場に剣と兜を隠す事に決めました。
ソロリ、ソロリと気配を消して、足音も立てずに歩きます。家の中から父ちゃんと母ちゃんの楽しそうな笑い声が聞こえて来ました。
「父ちゃん、そんな嘘にオラが騙されると思ってるのかぁ〜?猪なんか一度も見た事がねぇぞぉ〜!」
「いやいやいや、父ちゃの子供の頃に村に大きな猪が現れて、村人総出で追い払ったちゃ。嘘だと思うなら、オメェの好きなエミィの父ちゃのゴンゾウにでも聞いちゃよか。ゴンゾウの左腕の傷はその時の傷たい。」
「な、何を言ってんのじゃ!オラはエミィの事なんか、これぽっちも好きじゃなか!デタラメ言わんといてぇやぁ!」
何で家の中からオラの声が聞こえるんじゃ?そぉ〜と、窓の隙間から家の中を覗いてみました。
『ガァチャン〜!』
エッサは信じられない者を見てしまい、思わず剣と兜を落としてしまいました。
          
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