ゼロからはじめる島津大河誘致

郭隗の馬の骨

第25話 庄内の祭り

第2話で祭り之介が地元の祭りが好きだと紹介しましたが、どのような雰囲気なのでしょうか。庄内(都城を中心とする盆地の名称)の祭りの様子から見てみましょう。
まず、「よかもん祭り」というのがあります。
これは、毎週朝から開かれるもので、祭りの規模は小さいですが目玉となる店があります。
それは宮崎の山にいた野生のイノシシを店主自らが銃で撃ち、地元の野菜をふんだんに使った猪汁です。
値段は取材に伺ったときは450円でした。
ちなみに地元で開かれたコンテストで並み居る強豪を打ち破り何度も優勝しています。
筆者も50回以上食べましたがおいしいのはもちろんのこと食べた後に本当に精が付き、元気が湧いてきます。
また、季節ごとに旬となる野菜が変わるのでその時にしか味わえない季節の味を楽しむこともできます。
この料理がおいしい秘訣には店主の奥さんがホテルで料理を作っており料理の基本が出来ていることもあります。
ご主人はというともとは警察官でその働きにより皇居に上京したこともあります。
一見するととっつきにくいですが、話すとご夫婦ともに気さくで旅を楽しいものとしてくれました。
また、他にも揚げたてのコロッケや宮崎得意のからあげ、こんにゃくや雑貨、花など小粒ながらも見どころの多い祭りです。
人柄も良く、商売人の集まりというより近所の仲良しがバザーを開いたような、それでいて田舎でしか味わえない雰囲気や食べ物がふんだんにあります。
筆者が常連になって気軽に会話が出来るようになったころ、先の猪汁の奥さんが語った言葉が印象的です。
○○さんが来てからお客さんがたくさん来るようになってまるで福の神のようねえと、もちろんリップサービスもあるでしょうが、私が来たころはたしかに人が少なく寂しかった覚えがあります。
それが、沢山になり固定客が増えたのは祭りの運営や店主たちの絶え間なき努力と工夫の成果だと強く思いました。
工夫の中には店の買い物をした人には必ず抽選券をプレゼントし福引やじゃんけんなどで商品と交換しました。
もちろんその商品は店の皆さんからの提供物であり、商売としてみるときついだろうことが想像できましたが、町を活性化したい、来たお客さんを満足させたいという精神が、こうした行動を推し進めました。
ちなみにこの町は宮崎県で唯一人口が増加するという奇跡のような実績を上げています。
もちろんこれは偶然の幸運ではなく町の青年、壮年を中心とした町おこしのためのきめ細やかな魂のこもった働きの結晶でした。
※この章は取材をからめつつ。一部フィクションとなっています。

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