付き合って結婚した後

三日月の空

中野のお手伝い

「なぁ中野…手伝うよ!」
「で、でも…」

小池は中野の薪を取って火へ放り込んだ。

「そろそろ飯盒取っても大丈夫かな!」
「ちょっと…それ…」

さらに飯盒の持ち手へと手をかけたが、思ったよりも熱くて火傷してしまった。

「あっち〜!」
「だ、大丈夫?!」
「お、おう!」

小池は焦って手を隠した。
最悪の雰囲気だ。無理に手伝って勝手に火傷して、無駄なことしかしていない。

「だめよ!早く手当てしなきゃ!」
「別に大丈夫だけど…」
「だめ!早く来て!」

中野がポケットから絆創膏を取って小池の指に貼った。

「絆創膏持ち運ぶとか、女子力高いな…」
「ふぇ?!わ、私、そんな…女子力なんて…!」
「聞こえてた?!別にそんな意味は無いことはなくて…でもでも、魅力が無いわけでも…」

小池は動揺を隠せず、こけてしまった。

「だ、大丈夫?!」
「え、大丈夫だって…うわ?!」
「きゃっ!」

さらに動揺したまま差し出された手を握り転んでしまった。
2人は、文字通りの押し倒すという形になってしまった。

「わ、わりぃ!」
「ふぁ…ふぁぁぁあ!」
「怪我してないか?!」

中野は男子に押し倒されたことは初めてで、どう答えればいいのか分からなかった。

「ごめんな…俺、邪魔しかしてなくて…それに…」
「お、重い…」

中野は驚いて泣いてしまった。

「ほんとにごめん!」
「ち、違うの…私、男の子に触られたの初めてで…」
「俺、最低だよな…好きな女子にこんなこと…」

口が滑ってしまった。下心ありで話しかけたのがバレバレだ。

「好き…?」
「あぁぁあ!違う!違うから!」

中野も生まれて初めて異性に好きと言われ、押し倒されたことで小池を意識せずにはいられなかった。

「…よ…」
「え?」
「…い…よ…」
「もっかい言って?」
「嬉しい…よ…」

中野は恥ずかしい気持ちを抑えながら、声を出した。

「その…俺、テントの手伝いしてくる!」
「え…あっ…うん!」

小池は慌ててテントへ逃げてしまった。

to be continued…

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