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「拝啓、親愛なるヒカルに告ゲル」

コバヤシライタ

第五部「雨降りと嘘つき」(完)

「松山新聞 Go! Go! 島野ヒカル! 2009年 9月 6日」

いつものようにヒカルが先発する試合に異例中の異例の始球式が行われた。始球式といえばちょっとした有名人や野球の大好きな少年少女がするものだろう。この日の投手はなんとヒカル本人だったのだ。8月31日というのは、興居島中黄金時代を支えた「二人のヒカル」と偶然にもヒカルのお父さんの命日なのだ。どちらもヒカルを小さいときから支えて来た人物なのだが、忙しいヒカル流の「お参り」なのだろう。いつもより大きく振りかぶる。中学校時代のヒカルがとっていたフォームだ。投げる直前になると、審判とバッターが一目散によけた。なんとキャッチャーが用意されていないのだ。うなりをあげて進む少し古ぼけたボールはホームにおかれた外野用の青木のミットの上を越えていきバックネットにドスッと音を立てて転がった。

私はこのとき昨年出版し、大ベストセラーとなった詩集「プレーンフォッグ」の最後のページに書かれていた言葉を思い出した。

拝啓 親愛なるヒカルに告ゲル

きっと青木はこっそりこの詩集を見ているでしょう

何こそこそと暗いことしてるんだと思うでしょ

今のところはそれでよし

でも一ついえるのは

うーん

とにかく

僕は今元気です。

いずれまたお便りします。




おしまい

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