「拝啓、親愛なるヒカルに告ゲル」

コバヤシライタ

第四部「テノヒラトハナビラ」⑤

「松山新聞 Go!Go!島野ヒカル! 1997年 4月1日」


(中略)

こういう訳で彼は興居島中学に入学を決めたのだ。彼の子供心にも、親に言われたとおりの野球をすることに少なからずの疑問を持っていたのは間違いないだろう。しかしそれも結果として良かったのかもしれない。彼が興居島中にいったことでヒカルと父親との絆が強くなったように思えるからだ。興居島中の野球部に所属し、練習を共にしながらも、週に2回は少年野球のチームにお父さんと通っていた。島に住んでいなければなんてことない道も興居島に住んでいると、放課後すぐに出掛けなければならない。中学生の体には間違いなく辛いことであろうが、ヒカルは父親と共に三年間休むことなく続けた。
そして彼は今年、松山商業に入学することを公表したのだ。3年前忌み嫌っていた野球の強豪に入ることにしたのだ。しかし、この3年間を無駄だと思っていたわけではないだろうし、親を頼ろうとしているわけではないだろう。いちだんと、いや2段も3段も成長したヒカルは次の活躍の場所を名門松商にうつした。

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