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「拝啓、親愛なるヒカルに告ゲル」

コバヤシライタ

第二部「僕に彼女に降り積もる雪」⑤

「松山新聞 Go! Go! 島野ヒカル! 2000年 11月13日」

彼がプロ入りを拒否してから初のヒカルの公式戦があった。蝉とそうめんの似合う甲子園でもなく小さい町がすっぽりなくなってしまうような大きな東京ドームのマウンドでもなく、彼がプロを断って選んだマウンドは愛媛の小さなグラウンドのマウンドであった。
「基本的には毎日練習しないようにしてるので。今回は記事になるようなピッチングは出来ませんよ。」
といたずらっぽく笑う。事実ヒカルは本当に大好きな野球の練習をしていなかったのだ。しかし彼が「守りたいものがあるので」と言って断った日から数えて93日の昨日、中国地区高校生選抜と四国高校生選抜の試合が愛媛の坊ちゃんスタジアムで行われ、その先発ピッチャーとしてヒカルがマウンドに登ったのだ。練習をやり込んでいない感は投球練習からしても誰の目から見ても明らかだったが、甲子園の愛媛大会で大活躍したサークルチェンジアップがさえ渡り、見事5回を5安打1失点で四国選抜の勝利に貢献した。どのような環境でも、どのような状況でも必ず自分のもてる最高の実力を発揮する。高い制球力に裏付けられた安定感で愛媛大会決勝以来の勝利の味をヒカルのかみしめたことだろう。

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