神業(マリオネット)
2ー40★直感
『とりあえず、暫くはこの洞窟を行動の拠点とする感じでいいですよね?』
フェンからの一言に、誰も目立って反対の様子は示さない。
フィリアを含めて十三人と一匹が集まり最初に話し合われた内容は拠点。
この辺りは彼女が設置した術式に守られている。
なので基本的には安全なのだが…
それでも野宿はどうしても嫌だと必死に駄々をこねる人物がいた。
それがエルメダだ…
昼間、俺たちが洞窟に入っている間、彼女らは草むらに隠れた拠点で待機していた。
どうやら、その際に何ヵ所か虫にくわれたかなんかで若干、痒いらしい。
なので夜もまた草むらの方に拠点と言うのはどうしても嫌だと暴れだしたのだ。
調査員の方々が堪えられないと言うのなら話は分かるのだが…
よりによって貴方ですかと…
そして拠点作りは先ず最初にするべきだと…
いや、それよりも先にすることは山ほどあるんですけどと…
何度も説得しようとしたが彼女は一切の説得に応じない。
時おり出る彼女の謎の我が儘に俺たちはここでも振り回されていた。
ただ幸いにして、洞窟は中々のスペースがある。
それにフィリアの方でも問題がないと言うことなので、俺たちは寝床などは洞窟の中に拠点をとることにした。
フェンがアイテムボックスから大きな布のような物を出しそれぞれの角を俺、アンテロ、エイジに持たせる。
自身は誰も持っていない角を持ち、四人が一斉に広がった。
各自が限界まで広がったら四人それぞれが床に布をくっつけると、中から簡易的なテントが現れる。
この動作を先ほどから3度ほど繰り返しているのだが、恐らくフィリアにとっては始めての光景なのだろう。
俺たちの行動に合わせながら目をいったり来たりさせている。
『あれって…マジックアイテムなのでしょうか?』
フィリアは横にいるエルメダに指を指しながら聞いていた。
『うん、なんか、フェンさんのお店で出してるヤツの一番新しいヤツなんだってぇ~』
エルメダの話し方が頭悪そうに聞こえるのは俺だけなのだろうか…
声の高さやイントネーションの関係とかもあるのか?
それとも若干離れて聞いていることも影響しているのだろうか?
俺は自分に気のせいだと何度も言い聞かせた。
『そうなんですか、こんな便利なマジックアイテムがあるんですね。勉強になります』
『うん。そうだねぇ。でもフィアって、ここで寝泊まりしてるんだよね?』
エルメダはいつの間にか、フィリアを気軽にフィアと呼び捨てにしている。
俺…と言うか、話し合いの最中にいきなり言った時はみんなビックリしていたが…
言われたフィリアの方は少し嬉しそうにしていたので、問題ないかとみんな流していた。
『はい、そうですよ』
『どうやって?』
『あっ…、はい。あの奥のところに扉がありまして、その扉の奥の部屋で寝泊まりしています』
フィリアは指を指しながら話すが、その先には術式でガードされているのか扉など見当たらない。
『へー、そうなんだ~。でもさー、その部屋ってどうやって作ったの?』
『えっ…、作った…?ワタクシが部屋をですか…?いえ…そのようなことは…』
フィリアがエルメダの問いの意味が分からないと言うように首をかしげている。
正直なところ…
エルメダの話の意味は俺も分からなかった。
多分、俺だけではなく周囲で聞いていた全員彼女が何を言わんとしているのか分からなかったはずだ。
『もしかして!もう一人の人が作ったとか?』
『いえっ…彼は…ここに来た時には、それどころではなかったので…』
『えっ…じゃー、誰が作ったの?』
『はい?誰が作ったかは…ちょっと…』
『へー、あそこの明かりを曲がったところ?ここからだとちょっとよく見えないけど、奥に部屋があるの?』
『はい、そうです。一応術式で保護しているようですが…』
彼女は「ようですが」と言った…
ようですが、と言うことは、自分では術式を組んでいないのか?
彼女の言葉に引っ掛かりを覚え、自分の手が止まったところで…
『あれー!!コレ森の入り口にあったヤツとは別な人が書いたの?なんか違う!』
エルメダの大きい声が響いた。
大きい声だったので二人の方をとっさに向いてみると、フィリアはエルメダに何かを見せている。
恐らく、最初に会ったときに俺の目の前で食べようとした羊皮紙だろう。
『森の入り口のですか?それは恐らく、ワタクシが自分で作成した術式だと思います』
『じゃー、コレは?』
『こちらの方は湖のところにある切り株の上に置いてありまして…』
二人の話を黙って聞いていた俺だが…
ハッキリ言ってかなり違和感がある。
今まで、この辺にある術式は全てフィリアが作成したものだと思っていた。
だが二人の話を聞くと、彼女が作成したのは森の入り口周囲にあるモンスター避けの数個だけのようだ。
そこまではいい。
そこまではいいのだが…
残りは湖の近くで偶然見つけたと…?
そんな都合よく物事って運ぶものなのか??
確かにこの洞窟は、入り口に術式があり事前に情報がないと入ってこれない。
そして彼女は、その情報を偶然湖の近くで見つけたと…?
偶然にしては出来すぎだろう。
まるでどこかの誰かが彼女を、ここで待たせるために仕組んだことなのでは?
二人はその後も何やら仲良く話してはいたが、俺はこの事が頭の中にずっと張り付いていた。
フェンからの一言に、誰も目立って反対の様子は示さない。
フィリアを含めて十三人と一匹が集まり最初に話し合われた内容は拠点。
この辺りは彼女が設置した術式に守られている。
なので基本的には安全なのだが…
それでも野宿はどうしても嫌だと必死に駄々をこねる人物がいた。
それがエルメダだ…
昼間、俺たちが洞窟に入っている間、彼女らは草むらに隠れた拠点で待機していた。
どうやら、その際に何ヵ所か虫にくわれたかなんかで若干、痒いらしい。
なので夜もまた草むらの方に拠点と言うのはどうしても嫌だと暴れだしたのだ。
調査員の方々が堪えられないと言うのなら話は分かるのだが…
よりによって貴方ですかと…
そして拠点作りは先ず最初にするべきだと…
いや、それよりも先にすることは山ほどあるんですけどと…
何度も説得しようとしたが彼女は一切の説得に応じない。
時おり出る彼女の謎の我が儘に俺たちはここでも振り回されていた。
ただ幸いにして、洞窟は中々のスペースがある。
それにフィリアの方でも問題がないと言うことなので、俺たちは寝床などは洞窟の中に拠点をとることにした。
フェンがアイテムボックスから大きな布のような物を出しそれぞれの角を俺、アンテロ、エイジに持たせる。
自身は誰も持っていない角を持ち、四人が一斉に広がった。
各自が限界まで広がったら四人それぞれが床に布をくっつけると、中から簡易的なテントが現れる。
この動作を先ほどから3度ほど繰り返しているのだが、恐らくフィリアにとっては始めての光景なのだろう。
俺たちの行動に合わせながら目をいったり来たりさせている。
『あれって…マジックアイテムなのでしょうか?』
フィリアは横にいるエルメダに指を指しながら聞いていた。
『うん、なんか、フェンさんのお店で出してるヤツの一番新しいヤツなんだってぇ~』
エルメダの話し方が頭悪そうに聞こえるのは俺だけなのだろうか…
声の高さやイントネーションの関係とかもあるのか?
それとも若干離れて聞いていることも影響しているのだろうか?
俺は自分に気のせいだと何度も言い聞かせた。
『そうなんですか、こんな便利なマジックアイテムがあるんですね。勉強になります』
『うん。そうだねぇ。でもフィアって、ここで寝泊まりしてるんだよね?』
エルメダはいつの間にか、フィリアを気軽にフィアと呼び捨てにしている。
俺…と言うか、話し合いの最中にいきなり言った時はみんなビックリしていたが…
言われたフィリアの方は少し嬉しそうにしていたので、問題ないかとみんな流していた。
『はい、そうですよ』
『どうやって?』
『あっ…、はい。あの奥のところに扉がありまして、その扉の奥の部屋で寝泊まりしています』
フィリアは指を指しながら話すが、その先には術式でガードされているのか扉など見当たらない。
『へー、そうなんだ~。でもさー、その部屋ってどうやって作ったの?』
『えっ…、作った…?ワタクシが部屋をですか…?いえ…そのようなことは…』
フィリアがエルメダの問いの意味が分からないと言うように首をかしげている。
正直なところ…
エルメダの話の意味は俺も分からなかった。
多分、俺だけではなく周囲で聞いていた全員彼女が何を言わんとしているのか分からなかったはずだ。
『もしかして!もう一人の人が作ったとか?』
『いえっ…彼は…ここに来た時には、それどころではなかったので…』
『えっ…じゃー、誰が作ったの?』
『はい?誰が作ったかは…ちょっと…』
『へー、あそこの明かりを曲がったところ?ここからだとちょっとよく見えないけど、奥に部屋があるの?』
『はい、そうです。一応術式で保護しているようですが…』
彼女は「ようですが」と言った…
ようですが、と言うことは、自分では術式を組んでいないのか?
彼女の言葉に引っ掛かりを覚え、自分の手が止まったところで…
『あれー!!コレ森の入り口にあったヤツとは別な人が書いたの?なんか違う!』
エルメダの大きい声が響いた。
大きい声だったので二人の方をとっさに向いてみると、フィリアはエルメダに何かを見せている。
恐らく、最初に会ったときに俺の目の前で食べようとした羊皮紙だろう。
『森の入り口のですか?それは恐らく、ワタクシが自分で作成した術式だと思います』
『じゃー、コレは?』
『こちらの方は湖のところにある切り株の上に置いてありまして…』
二人の話を黙って聞いていた俺だが…
ハッキリ言ってかなり違和感がある。
今まで、この辺にある術式は全てフィリアが作成したものだと思っていた。
だが二人の話を聞くと、彼女が作成したのは森の入り口周囲にあるモンスター避けの数個だけのようだ。
そこまではいい。
そこまではいいのだが…
残りは湖の近くで偶然見つけたと…?
そんな都合よく物事って運ぶものなのか??
確かにこの洞窟は、入り口に術式があり事前に情報がないと入ってこれない。
そして彼女は、その情報を偶然湖の近くで見つけたと…?
偶然にしては出来すぎだろう。
まるでどこかの誰かが彼女を、ここで待たせるために仕組んだことなのでは?
二人はその後も何やら仲良く話してはいたが、俺はこの事が頭の中にずっと張り付いていた。
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