聖玉と巫女の物語

ともるん77

伝説

 アシュリータがこの世界を去ってから数年後、多くの困難を伴ったが王政は廃止され、神官だったエリクは異例の早さで神官長となった。


 王族たちは貴族の地位にとどまったものの、政治には関与しなくなった。その代わり、人々の推薦によって選ばれた人たちが政治を行うようになった。


 エリクは、フリンツから、今は失われてしまった聖玉の存在を神話として残すよう依頼されていた。


「父は、僕を……王族の存続を守りたかったんだろうな」
 そうフリンツはエリクに言った。
 エリクは、長い時の中で、自分たちの中にも先住民族の血が流れているだろうことをフリンツに話した。彼は頷いていた。


〈王族の祖先はもともと侵略者であり、神官たちの祖先と共にこの地にやってきた。巫女と伝説の妖魔は、祖先を同じくする不思議な力を持つ先住民族であった。侵略者であった王族はこれらを支配下に置いた。巫女の一族は光を司るため光玉を用い、その紋章はイラクサであった。妖魔の一族は闇を司るため闇玉を用い、月と星を紋章とした。聖玉とは、それぞれが受け継いできた、この光玉と闇玉のことである〉

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