聖玉と巫女の物語

ともるん77

王族

(ここは……どこだ?)
 目を覚ましたフリンツは、自分がどこにいるのかわからなかった。


 見渡す限りの草原。ところどころ色がついているのは花が咲いているのか。
 彼は自分が死んだのだと思った。


 その時、いつの間にか一人の男が目の前に立っているのに気付いた。
 男は腰に立派な剣を携えていた。


「その剣は、まさか」


 男は城にある肖像画の伝説王とは違う風貌だった。しかし、フリンツは確信した。
 彼が、バイサイファルだと。
 威厳に満ちていたが、目はどこか優しさを宿していた。


「お前には真実を知る権利がある」


 そう言われた瞬間、フリンツの脳裏にウェルギンの言葉が響いた。


『古い時代の城跡……もちろん王族の城ですよね?』
 フリンツは何か心にひっかかるものがあった。


「北のはずれにあるという古い城跡は、王族のものなんですよね?」
 フリンツの問いに、バイサイファルは無言で首を横に振った。
「でも、イラクサの紋章のようなものがあったと」
 バイサイファルは、剣を彼方に向けた。


「我々、王族は元々は別の大陸から神官の祖先と共にやってきたのだ」


「……!」


「先住民族を蛮族として排斥しようとしたが、その時、私は大切なものを失った。そして、亡き彼女の意志を汲んで、異民族の融和に転換することにした。しかし、時は移り、我が王族はまたしても先住民族の一部を切り捨てたのだ」


「先住民族……」
 フリンツはファルサも同じことを言っていたことを思い出した。


「彼らが王だったのだ」


「巫女と妖魔……」


「二つの系統の王がいた。光玉を受け継ぐものと、闇玉を受け継ぐもの。この二つが互いを補佐し合いながら国を治めていた」


「王が二人……。そして、僕は……。王族は侵略者だった」
 フリンツはこれが、地下墓地であの時、ファルサが言いかけたことだと思った。


「お前には先住民族の血も流れている」
 フリンツは祖母の顔を思い出した。


「僕はどうすれば?」
「それはお前自身で決めることだ」

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