聖玉と巫女の物語

ともるん77

解放

 黒い羽毛の翼、漆黒の髪に青白い顔をした人間のような。ファルサは夢の中の妖魔に似ていると思った。
 その腕の中には……。


「アシュリータ!」
「巫女!」
 それぞれが叫んだ。 


 アシュリータの表情までは確認できなかったが、彼女が首からぶら下げている聖玉が淡く白い光を放っているのがわかった。


「アシュリータ、あの石をとってくれる?」
 アルマンが言うと、アシュリータは言われるまま、石の塔の先端にはめこまれている闇石に触れた。頑丈にはめ込まれていると思ったそれは、石碑から音もなく難なく外れ、アシュリータの両手が受け止めた。みんなが見つめている中、彼女はそれを妖魔に渡した。


「アシュリータはあの妖魔に操られているのか」
 ヘイワードの言葉にみんなもそう思った。


「これで……いい」
 アシュリータは彼の体から小さい男の子の姿が浮かび上がるのを見た。


「これが重かったんだ。今、解放する」
 そう言うとアルマンは、アシュリータを舞台より上の階段にそっとおろした。


 ウェルギン、フリンツ、ヘイワード、ファルサは急いで駆けつけた。
「アシュリータ無事か!」
 みんなの声かけにも彼女の反応は鈍かった。
 アシュリータは恍惚状態だった。


 ファルサは、これは夢見の状態と似ている、と思った。
 そして宙に浮かんでいる妖魔もそんな風に見えた。

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