聖玉と巫女の物語

ともるん77

書庫②

 書庫への出入りは、神官長執務室の隣にあった。


 書庫管理室には、係の神官がいて、一般人の利用は認められていなかった。
 フリンツは行商服の下に、ちゃんと王子の正装を着用していた。


「王子……」
 書庫係の神官は驚いていた。


「今から二人で書庫を使いたいんだけど」
「あっ、はい!」
「何か不都合が?」


「あの……さきほど、カイサル神官長に午後からは書庫を閉めるようにと」
「わかった。遅くならないようにするし、後で神官長に言っておくよ。今、誰か書庫を使ってる?」
「いえ、誰も」
「じゃあ、鍵が閉まってるってこと? 開けてくれるかな」
「はい」


 書庫係は地下書庫に通じる扉を開けて、そこにあった下り階段を下りて行った。
 中の石壁には一定の間隔を置いて、ランプの火が灯されていた。
 書庫係が、鍵で書庫の扉を開ける音が地下に響いた。


「どうぞ」
「ありがとう。誰も入ってこないよう上の部屋で見張っててくれる?」

「聖玉と巫女の物語」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く