聖玉と巫女の物語

ともるん77

 誰かの叫びを聞いた気がして、ファルサは目覚めた。


 毎晩、夢を見る。妖魔たちの哀しい目。
 彼らは、ささやく。


《神殿へ行け。そこにあるものを見ろ》


 神殿に何があるというの。
 ファルサが物思いにふけっていると、彼女の天幕の外でかすかに羽音が聞こえた。


(まさか、近くに妖魔が?)


 躊躇せず、外に出ると、交替で見張りをしていた騎士が驚いた。
「どうかしましたか?」


 馬たちも騒いでいる様子はない。
 耳を澄ましてみたが、もう何も聞こえなかった。


 その時、胸の辺りが光った。
 聖玉の一部だったそれを取り出してみると、淡く紫色に光っていた。

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