聖玉と巫女の物語

ともるん77

『さて、どこまでだったかな』


 懐かしい声。


 アシュリータは今、自分が巫女候補として神殿で講義を受けているところだと気付いた。


(夢……?)


 目の前には、十二歳の時の自分と他の巫女候補たちがいる。
 先生は、今は亡きゾイタル神官。長老と呼ばれていた。


 長老は他の神官たちとは違った独特な考えを持っていた。


『魔族と人間の住み分けができていた頃には争いはなかった。魔族が積極的に村を襲うことなど聞いたことがない。ただ、人間が魔族狩りを始めて、魔族を襲うようになってから、その反撃として魔族が人を襲う事はあった。使い魔にしても人に危害を加えるようには見えない』 


 そんな事を言うのは長老だけだった。しかし、そんな長老も、その地位をカイサルに譲った後、最後にはこう言った。


『魔族は存在自体が邪悪なため、国の平和と繁栄の為には迫害しなくてはいけない』


 本当にそうなの? 昔のようにまた共存できないの?


 そんな風に思いながら、アシュリータはさらに深い眠りに落ちていった。

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