欠陥品のリベリオン

夜月祐斗

第十二話 大会当日

 目が覚めると目の前にはレイスがぐっすり寝ていた。

 「!?」

 目が冷めた瞬間だったので驚いたがすぐに気を取り直して起き上がった。

 「……。」

 レイスはまだしばらく起きそうになかったのでそっとし、朝食の準備をしに下へ降りた。

 「ついに、魔法大会か。」

 1か月の間、出場者は自由に過ごせたから俺たちみたいに魔法の訓練をしてる奴もいるだろう。

 それでも、貴族のほとんどは訓練とかしないからレイスも勝てる可能性はある。
 
 「ユウトさん、早いですね。」

 しばらくしてからレイスも起きてきた。

 「俺もさっき起きたとこ。」

 時刻は6時半だから30分ぐらい早く起きた。

 「それより、準備できてるか?」

 「体調もバッチリです!」

 その後、簡単に朝食を済ませて居間で今日の事を確認した。

 「今日の予選はA、Bの2つに分かれてそれぞれトーナメント戦で上位1人が本選に出場できる。」

 「つまりA、Bから2人が本選に出るんですよね?」

 「そう、だから俺とレイスは別ブロックにならないと直接戦うことになる。」

 「ユウトさんと戦っても勝てる気がしません。」

 レイスがしょんぼりするのが見えた。

 「だからまずは、別ブロックにならないとな。」

 「でも、ブロックの抽選ってランダムですよね? どうするんですか?」

 「運頼み。」

 「それはそうですよね。」

 こればっかりはどうしようもないからな。

 「それはそうと、そろそろ学校行こうぜ。」

 「はい。」
 

***
 

 「ユウトさん、それじゃあ私はこれで。」

 「また後でな。」

 1年のレイスと2年の俺はそれぞれの教室へと向かった。

 ガラ!

 教室に入ると何人かの生徒がいたが、誰も下民の俺に話しかける奴はいなかった。

 「おーい!」

 ただ一人を覗いては、

 「久しぶりだな、ユウト。」

 「お前こそな、ヒナタ。」

 こいつはヒナタ、貴族でありながら唯一俺に話しかけてくるやつだ。

 昔なぜか聞いてみた時に、「何言ってんだ? 馬鹿なの?」って言われたことがある。

 「お前、噂になってんぞ。」

 「何が?」

 「お前王族の女子と一緒だったろ。」

 レイスの事だろうな、1か月一緒だったから忘れてた。

 「それがどうした?」

 「どうしたじゃねーよ、付き合ってんのか!?」

 「そんなわけねーだろ、俺は下民だぞ。」

 「違うのか、やっとユウトにも俺以外に友達ができたと思ったのに。」

 ヒナタは多少荒いがこの通り優しい一面もある、ちなみにヒナタは学年最下位だから馬鹿と言われたときには殺意が湧いた。

 「それより早く会場に行くぞ。」

 「あぁ、でも俺は出ないから観客席に行くわ。」

 「お前でないのか?」

 「俺だけじゃない他のみんなだって出ないやつのほうが多い、うちのクラスで出るのはユウトだけだからな。」

 そうだったのか全然知らなかった。

 「去年はみんな出てたろ?」

 「去年出たからさ、お前も見たろ3年生のカガチ先輩。」

 あいつか、レイスの兄で最低な野郎だが確かに実力はあった。

 「だからユウトは頑張れよ!」

 最後にヒナタと別れてから会場に向かった。

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