欠陥品のリベリオン

夜月祐斗

第十話 地下遊戯大会

 「レイス、これ付けといて。」

 俺は首輪をレイスに渡した。

 「なんですかこれ? ユウトさんってそういう趣味なんですか?」
 
 「違うからな! 断じて俺の趣味じゃな
い!」

 そう言うと、レイスは冷たい視線を出すのを止めてくれた。

 「これは奴隷につける首輪で、この中でこれがないと貴族に目ぇつけられんの。」

 「なんで首輪があると大丈夫なんですか?」

 「首輪があるってことは主人がいるってことだからな、貴族は基本互いの奴隷には手を出さない。」

 おとなしく首輪を付けたレイスは控えめに言った。

 「なら、私の主人はユウトさんですね。」

 そんなレイスに、(こいつの喜怒哀楽って変だよな)って考えていた。
 

***
 

 地下に入るとそこには何度見ても慣れるような光景ではなかった。

 ギュ!

 それはレイスも同じだったらしく腕にしがみついてきた。

 「それじゃあ、俺は出場するからレイスは観客席で見ていてくれ。」

 「分かりました、しっかり魔法の使い方を勉強します。」

 レイスを観客席に案内してから、中央にあるフィールドに向かった。

 「それではこれより地下遊戯大会を始めす!」

 司会者のような人が叫んだ。

 「ルールは簡単! 20人によるバトルロワイヤル! 最後まで残った1名が優勝だ!」

 20人か、意外と楽かもな。

 「優勝者には100万円が貰えます! それでは早速、始め!」

 司会者の合図とともに一斉に動いた。

 「身体能力を付加。」

 そうやって自分の全身の筋肉を付加魔法で強化し、乱闘した。

 それからはあっという間だった、20人中俺以外はろくに魔法も使えない奴らばっかだったので5分ほどで決着した。

 「ユウトさん、お疲れ様です。」

 入り口に向かうとレイスが待っていた。

 「レイス、ちゃんと見てたか?」

 「はい、しっかり見ましたよ。」

 「なら、明日からはそれをイメージして特訓な。」

 そのまま俺たちは帰路に立った。


***

  
 「ユウトさん、このまま帰っていいんですか。」

 帰る途中でレイスが言った。

 「なんのことだ?」

 「ミユキさんの事です! あんな別れ方でいいんですか!」

 すごい剣幕の彼女に話してやった。

 「ミユキさんは、ちゃんと分かってるよ。」

 「え?」

 「あの人は優しいだけなんだ。」

 「どういうことですか?」

 レイスにも伝えたほうがいいと思い話した。

 「あそこにいた子供たちはみんな捨て子なんだ、ミユキさんはそんな子達を助けているんだ。」

 「捨て子ってユウトさん……。」

 そういえばレイスに昔のこと話すの初めてだな。

 「俺も昔、親が早くに逝っちまって妹と二人でミユキさんに助けられたんだ。」

 「すみません、余計な事言って。」

 彼女はそう言ったが俺は話を続けた。

 「子供の多くは貴族に傷つけられたものばかりでなんだ。」

 「だから必死だったんですね。」

 「ミユキさんは子供たちを守ろうとしただけなんだ、だからレイスの事が嫌いなわけじゃないよ。」

 それを聞いた彼女は、

 「私、今度会いに行ってもいいですか?」

 「いいよ、きっとミユキさんも喜ぶよ。」

 「はい、そのためにもまずは残り2週間頑張ります。」

 彼女の表情も晴れたようで良かった。

 魔法大会まで2週間、レイスは一層励まないとな。

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品